2021 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険サービス提供における営利法人に対する政策的対応および政策理念の変容
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19K02232
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
石田 慎二 帝塚山大学, 教育学部, 教授 (30342265)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 介護保険 / 営利法人 / シルバーサービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「介護保険法の施行前後における営利法人による介護サービス提供に対する政策的対応およびその背景にある政策理念の変容」について明らかにすることを目的としており、2019年度から2021年度までの3年計画で実施するものである。2021年度は、介護保険法施行後の2000年以降の政策展開について文献・資料の収集および分析・考察を行った。 居宅介護サービスにおける営利法人の参入については、訪問介護や通所介護等において事業所全体の半数以上を占めるようになり、営利法人が影響力を持つようになった。介護保険施設への営利法人の参入については、規制改革会議等で頻繁に議論になったが、①入所者は要介護高齢者であり、施設に対して権利主張を行い難い、②不適切なサービス提供があった場合には、要介護高齢者に具体的な被害が発生し、事後チェックでは回復不可能、③サービス提供は夜間・早朝も行われる等、外部からの目が行き届きにくい、④入所者にとって、施設は終の棲家であり、経営主体が自由に退出せずに、長期間安定した形でサービス提供をし続けることが求められる(2002年12月12日「規制改革の推進に関する第2次答申」)といった懸念から、規制改革推進派と厚生労働省等の議論が平行線をたどり、営利法人の参入が認められるに至っていない(ケアハウスなどへの営利法人の参入は認められている)。 その一方で有料老人ホームへの営利法人の参入が進んだことにより、近年、介護保険施設への営利法人の参入の議論は下火になってきている。
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