2021 Fiscal Year Annual Research Report
医療的ケアを必要とする重度肢体不自由者の地域居住生活継続に資する居場所作りの研究
Project/Area Number |
19K02340
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山田 義文 日本大学, 工学部, 講師 (80584375)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 重度肢体不自由者 / 医療的ケア / グループホーム / ケアホーム / 居住環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
重度肢体不自由者の地域における居場所作りを進める中で、令和3年度は地域の中核的な 公共建築物であり、様々な催し物の会場として供される劇場・ホールにおけるバリアフリー環境整備に関する調査分析を行った。本調査分析では、まず、地方中核都市における市民へのアンケート調査と現地調査により、築年数を経た公立文化施設における運営上の課題を把握した。その中で利用者から最も多く挙げられた意見は、駐車場の有無に関しての不満の意見で、その次にトイレに関しての意見であった。 こうした意見と利用者へのサービス向上に資する改修履歴の比較分析を行い、劇場・ホール建築における利用者の満足度向上に向けたユニバーサルデザインの適応における現状の課題を分析した。駐車場に次いで多くの意見が挙げられたトイレでは、個室ブースの手狭さが改善されなかったことから、トイレの洋式化後も利便性や広さに関する意見が挙げられたことが明らかになった。 また、階段の多さなどバリアフリー化を求める意見が見られたが、車いす利用者向けの特別ルートを設けるなど、運用面により対応している状況なども見られた。車いす利用者用の出入口を利用する場合は、インターホンで係員を呼び出す必要があり、他の利用者とは分け隔てられた別ルートで大ホールへ入ることになる。大ホール内には、車いす利用者のための観覧場所が設けられており、利用者は車いすを降りることなく演目を楽しめるが、手前の人が立ってしまうと、サイトラインは確保されないなど、ノーマライゼーションの理念から見ると課題が残る。また、音響効果を考慮して凹凸を持たせた壁面上や前後の客席間に手すりを設置できないことに伴う移動時の危険性や有料エリア内のトイレへのアクセスの不便さなど、劇場・ホール建築の特有の形態から生じるバリアの改善も重度肢体不自由者の居場所として活用するために必要な課題である。
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Research Products
(4 results)