2019 Fiscal Year Research-status Report
生徒の視点に立った中学校の運動部活動の在り方に関する研究
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19K02407
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
後藤 彰 日本体育大学, スポーツ文化学部, 教授 (70740025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門屋 貴久 松山大学, 法学部, 講師 (50837515)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中学校運動部活動に対する認識尺度 / 運動部活動の意義や目的の再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今の公立中学校等の運動部活動における勝利至上主義的な指導や生徒に過度の負担となる活動状況、更に体罰などの問題点が大きく指摘されている中で、学習指導要領に示されている本来の活動による教育的効果や成果等の検討が充分に行われていない状況にあると考えられる。そこで、本研究は、運動部活動の当事者である生徒の視点を重視し、「中学校運動部活動に対する認識尺度」を作成した上で、公立中学校運動部活動の教育的効果や成果を生徒の視点から明らかにすることを第一義の目的とした。本研究を進めるにあたり、公立中学校校長代表、日本中学校体育連盟代表、PTA全国協議会会長、教育委員会教育委員、実務経験のある大学准教授等で協議会を設置し、様々な視点からの意見交流と運動部活動における諸課題を整理するとともに、保護者の視点も加えた調査内容について検討を行った。運動部活動が本来目指している教育的意義について、学校現場はもとより、生徒や保護者の意見や考え等を加味したものを改めて考えること、また成果についても勝利至上主義ではなく、学校教育活動において運動部活動に所属している生徒の活躍状況などを適切に把握して、運動部活動の意義や目的を再度構築していくことなどが、テーマとなり、充実した協議を通して調査内容の検討を行うことができたところである。更に、学校の管理職である校長や運動部活動顧問教員の視点からも調査を実施するとともに、諸外国の青少年スポーツ活動に携わる有識者とも意見交換や協議等を行い、それぞれの視点から今後の日本の公立中学校における運動部活動の意義や在り方についてあらたな見地を見出すとともに、公立中学校運動部活動の教育的効果や成果を明らかにするため、全国調査を基にした「中学校運動部活動に対する認識尺度」の作成を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本中学校体育連盟専務理事、関東中学校体育連盟会長、東京都中学校体育連盟副会長、PTA全国協議会会長、学識経験者、教育委員会教育委員を構成員とする「中学校運動部活動の在り方に関する研究調査委員会」を設置し、教育委員会や学校からの視点と生徒・保護者からの視点による運動部活動の成果と課題について協議するとともに、本来あるべき姿の運動部活動の教育的意義について議論を重ねたところである。また、この委員会を通して、学校管理職及び運動部活動顧問教員、運動部活動に所属している生徒とその保護者を対象とした「中学校運動部活動に対する認識尺度」の作成に向けた予備調査の内容を検討し、都内の公立中学校3校(約800名)に実施した。調査の内容は、「運動部活動への期待」、「運動部活動の課題」の2点について、自由記述にて回答を求め、「中学校運動部活動に対する認識尺度」のキーワードとなる項目を引き出し、考察・分析後項目化し、本調査に向けた調査内容の構築を図っている。また、前記した委員会を通して「中学校運動部活動に対する認識尺度」の作成に向けた全国的な調査への体制を整えたところである。その後、3月時点から新型コロナウイルス感染症拡大防止対策等の関係から、この研究活動が一時停止している。本調査に向けた2回目の予備調査の実施を行う予定であったが、現状において学校が休校しているため、調査研究が進められない状況にある。今後、学校が再開し、調査研究への協力が可能となった時点において、急ぎ研究を進めていく所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況においても、記述したところであるが、3月時点から新型コロナウイルス感染症拡大防止対策等の関係から、この研究活動が一時停止している状況にある。研究2年目となる本年度は、本調査に向けた2回目の予備調査の実施を行う予定であったが、現状において学校が休校しているため、調査研究が進められない状況にある。今後、学校が再開し、調査研究への協力が可能となった時点において再開する予定である。学校再開後は、関東近郊の公立中学校の「運動部活動に所属している生徒」を対象に、「運動部活動に関するアンケート調査」を実施し、探索的因子分析および確認的因子分析からアンケート項目の信頼性および妥当性を確認し、「中学校運動部活動に対する認識尺度」を作成する。その後、「中学校運動部活動に対する認識尺度」を用いて、北海道、東北、中部、関東、近畿、中国、九州、沖縄の公立中学校の校長と運動部活動顧問教員、運動部活動に所属している生徒とその保護者を対象にアンケート調査を実施する。 更に日本の運動部活動の現状と海外の青少年スポーツ活動との相違点等を踏まえた上で、地域における青少年のスポーツ活動が主となっているカナダの有識者と意見交換や協議等を行い、参考となる国際的な視点からの意見や考えを本研究に反映する予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年度に、日本の運動部活動の現状と海外の青少年スポーツ活動との相違点等を踏まえた上で、地域における青少年のスポーツ活動が主となっているカナダの有識者と意見交換や協議、現地学校視察等を行う予定が組めたため、令和元年度の使用額を一部次年度に回した。
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