2019 Fiscal Year Research-status Report
The Conflict between Standardization and Autonomy of Teacher Preparation in the U.S.
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19K02442
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐藤 仁 福岡大学, 人文学部, 准教授 (30432701)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教員養成 / アメリカ / 専門職スタンダード / アクレディテーション / 社会正義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、専門職スタンダードに焦点を当てて、教師教育政策におけるスタンダードの位置づけに関して検討を進めた。アカウンタビリティ政策が進展している中で、スタンダードは教師の自律的取組や職業的専門職性を促進するというよりはむしろ、学力向上に資する教員という枠組みからの組織的専門職性を強調するものになっている可能性を検討した。 また、スタンダードの具体的内実については、「社会正義を志向する教師教育」という枠組みから、分析を進めた。社会正義を志向する教師教育をめぐる概念的整理として、多文化教師教育の展開や、テスト政策への対抗軸という特質も包含しながら社会正義を志向する教師教育が隆盛していく経緯を明らかにした。また、社会正義を志向する教師教育が、具体的な教師教育政策にどのように落とし込まれているのか、という点に関して、本研究のもう一つの研究対象となるアクレディテーションの実態を分析した。アクレディテーションにおいて、社会正義を志向する教師教育を求める方策としては、一つには直接的に評価基準に盛り込むという方法があるが、何が社会正義を志向する教師教育なのか、という点に関するコンセンサスが不十分なことから、論争的な基準になってしまう問題点を指摘した。もう一つの方法として、各教員養成機関が社会正義を志向する教師教育を自分たちの文脈で解釈できる余地を与える方法を検討した。この場合、単に解釈の自由度を高める、というだけでは不十分であり、教員養成機関がそれらを自らのミッションや教育目標に落とし込んでいくプロセスを重視するような仕掛けが必要であることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は専門職スタンダードに関する理論的整理を行うことができた。ただし、本来予定していた専門職スタンダードの運用実態に関する現地調査を行うことができなかったため(新型コロナの影響)、次年度において実態を分析する作業を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、現地調査が難しい状況が継続することを踏まえると、まずは入手可能な資料を分析し、専門職スタンダードの運用実態とアクレディテーションの展開動向を整理していく必要がある。その上で、教員養成機関の担当者やアクレディテーション団体の職員等とメールやウェブを通したコンタクトを取り、可能な範囲で実態を解明していく作業をしていく必要がある。
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Causes of Carryover |
2月から3月にかけて、アメリカへの現地調査を企画していたが、新型コロナの影響により、渡航が困難となり、その分の旅費を繰り越すことになった。次年度は、現地調査の可能性を探りながら、他方で資料分析に必要な資料や機器等の購入を検討している。
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Research Products
(5 results)