2022 Fiscal Year Annual Research Report
矯正教育としての「満蒙開拓青少年義勇軍」の送出に関する歴史的研究
Project/Area Number |
19K02449
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
白取 道博 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (00226325)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 満蒙開拓青少年義勇軍 / 矯正教育 / 少年保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、青少年義勇軍に応募した少年保護処分対象者の存在に焦点を合わせ、その募集・送出過程に関与した諸機関・諸団体の論理と送出の実態とを明らかにすることを目的とした。分析視点として以下の二点の仮説を設定した。①矯正院・少年教護施設において出院後の進路として提示された「満蒙開拓青少年義勇軍」への応募は、陸海軍への現役志願と並び、当該期の少年保護処分対象者が更生した姿を自ら示してみせる手立ての一つであったのではないか。②国家の秩序の埒外に突出した者に対する矯正教育の達成の端的な指標は国家目的への挺身であったのではないか。 この仮説を検証すべく、具体的な作業目標として以下の三点を設定した。①司法省を中心とした少年保護政策の遂行主体の政策意思を系統的に把握すること。そのため、関連公文書の調査を基軸として、各年の『少年審判所長保護観察所長矯正院長会同議事録』、『司法保護月報』『司法保護事業年鑑』『少年保護』等の逐次刊行物を分析して遂行する。②矯正院・少年保護施設における処遇の推移を把握すること。そのため、各道府県の施設が公刊した資料類の調査を基軸として、設置主体の別にかかわらず、募集・送出に関与した諸施設における応募者の計数的把握を遂行する。③青少年義勇軍の応募者における少年保護処分対象者の位置を測定すること。 そのため、応募者の社会的性格を把握すると共に青少年義勇軍政策の展開過程に即して少年保護処分対象者の送出に関する政策意思を把握する。 論文・発表等に取りまとめるまでの精度を上げることができなかったが、主に上記①の作業を通じて、設定した仮説の確かさを確認し得た。
|