2021 Fiscal Year Research-status Report
明治期から昭和初期の学校教育における「修養」と「教養」に関する基盤的研究
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19K02457
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 智哉 國學院大學, 文学部, 教授 (80570481)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 修養 / 教養 / 欧陽脩 / 岡田虎二郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で資料調査を行うことができなかった。そのため、当初予定していた学校資料の収集と読み込みの作業から、入手可能な文献資料を読み込むことで研究を進めることに変更した。具体的には、芦田惠之助全集(全25冊)を読むことで、芦田惠之助の「修養」を明らかにする試みを行った。 先行研究において芦田惠之助の「修養」は、綴方実践あるいは随意選題思想との関係で論じられており、芦田の「修養」概念は十分に行われてこなかった。また、芦田の「修養」概念は、岡田式静坐法の創始者である岡田虎二郎からの影響が強いとされており、先行研究も岡田の影響を所与の前提として論じている。 芦田惠之助全集に収録されている著作等を明治期のものから読み進めると、芦田は岡田虎二郎と出会う前から、すなわち明治期から「修養」ということばを用いて自らの教育実践を語っていることが明らかになった。そして、「修養」の方法として、唐宋八大家の一人である欧陽脩の「三多の法(多読・多作・多商量)」を提示していることを明らかにすることができた。 しかし、明治期に限って芦田の「修養」を検討すると、欧陽脩の「三多の法」を示してはいるものの、教育の概念として「修養」が成熟しているわけではない。むしろ、辞書的な意味に近い用い方をしたり、「修練」の強調後として用いたりしているのである。 以上の研究実績から、岡田虎二郎との出会い以降に、芦田の「修養」がどのように教育概念として成熟していくのかを検討することが課題として明確になった。この課題を明らかにするためには、欧陽脩の「修養」に加えて、十分に解明されているとは言えない岡田虎二郎の「修養」を明らかにすること、そして教壇行脚期における芦田の思想の変化を丁寧にたどることが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で予定していた資料調査が進まなかったことが原因だと考えられる。この先の見通しが立たないため、図書館等で入手可能な文献資料等を用いた研究を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、資料調査がままならないため、図書館等で入手可能な文献資料をもとに研究を進める。 昨年度はすでにその一部を論文化したので、今年度も引き続き同様の方法で研究を進めることを予定している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により予定していた資料調査ができなかったため。今年度は、学会発表等を積極的に行う予定である。また、文献資料による研究に変更をしているが、可能ならば資料調査を行う予定である。
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Research Products
(1 results)