2020 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の大学における歴史研究・教育体制と学術行政
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19K02461
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
奈須 恵子 立教大学, 文学部, 教授 (80287557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 雄基 立教大学, 文学部, 教授 (00726573)
神野 潔 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 教授 (40409272)
小澤 実 立教大学, 文学部, 教授 (90467259)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学問史 / 学術行政 / 大学史 / 史学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の3つの項目について調査を進捗させた。 1.近代日本の大学における史学科、各学部の史学関係講座、史学関係科目の設置・人員・カリキュラムとその展開と教育・学術行政の関連性の解明のため、前年度(2019年度)に資料収集を行った1920年代~30年代を中心とした国立公文書館所蔵の文部省関係簿冊の官立・公立・私立各大学の設置認可・学則改正の審査・中等学校教員の無試験検定指定の認定に関わる資料の基礎情報の分析作業を進めた。また、前年度に資料収集を行った公益財団法人野間教育研究所図書室所蔵の大学沿革史コレクションを手がかりとして、戦前期に設置された史学科及び史学関係講座についての分析作業も行った。 2.人員・カリキュラム展開の精査に必要となる、各大学で毎年度発行されていた大学一覧について、古書購入による資料収集をさらに進めた。収集にあたっては、史学科や史学関係講座、史学関係科目を設置していた、戦前期の大学令による大学(京都帝国大学などの帝国大学、東京商科大学などの官立大学、公立大学であった大阪商科大学)のみならず、高等師範学校(東京高等師範学校、広島高等師範学校)の一覧の収集も行った。 3.各学問分野の歴史研究の位置づけや役割(とその変容)について、研究分担者それぞれの専門とする近代日本法制史学、日本中世史学、西洋中世史学に即しつつ、研究を進めた。これらの研究の展開を踏まえて、本来であれば研究代表者・研究分担者以外のメンバーも招いて研究会を開催することを予定していたが、2020年度については、研究代表者・研究分担者間での、調査・分析の進捗状況を情報共有する形での数回の遠隔会議(オンライン会議)を開催するにとどまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に予定していた、個別の大学アーカイブズ・図書館所蔵資料の調査・収集に関しては、COVID-19の感染状況が続き、アーカイブズ・図書館の臨時休館や入構制限のため、進捗させることが不可能となった。そのため、2020年度には、2019年度に収集した資料の分析作業を中心に進めざるを得なくなった。 研究分担者による学史研究とそのための資料収集(史学や社会科学系諸学問の概論に関する著作・教科書・講義録等の収集)も、可能な範囲で2020年度にも進められたが、上記のように、大学アーカイブズ・図書館所蔵資料の調査・収集ができない状況であったため、本来予定していたよりもやや遅れている。 また、2020年度当初に予定していた研究会開催も、2021年度実施に延期することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.2019年度に調査・収集し、2020年度に分析を進めた官立・公立・私立各大学の史学科及び史学関係講座の設置認可・学則改正等の資料による史学関係教員・カリキュラムの変遷に関して、古書収集により入手した毎年度発行の大学一覧での情報などもあわせて、2021年度にはさらに分析を進める。 2.2020年度に予定していた、1920年代~30年代の史学科及び史学関係講座を設置した大学のうち、特に注目すべき動きが認められるいくつかの大学に関する当該大学アーカイブズ・図書館所蔵資料の調査・収集を行う予定である(ただし、COVID-19感染は2021年5月現在でも続いており、今年度の資料調査・収集にもこの状況が影響するおそれは少なくない)。 3.各分野の学史研究者を招待して研究会を開催し、事例調査と比較研究を進める。すでに2021年6月に遠隔会議(オンライン会議)の方式で開催する予定であり、可能であれば年度内にさらに1,2回の研究会を開催する。
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Causes of Carryover |
本来であれば、2020年度には、2019年度に資料調査・収集を行った国立公文書館所蔵資料のうち、官立・公立・私立各大学の史学科及び史学関係講座の設置認可・学則改正等に関わる資料のデータベース化を、アルバイト1名に依頼して実施する予定であったが、依頼予定者の都合により2020年度にも実施することが不可能となった。そのため、2020年度に予定していた「人件費・謝金」は使用しないこととなった。各分野の学史研究者を招待した研究会の開催も、2020年度には実施しなかった。これにより2020年度に予定していた「人件費・謝金」は使用せず、2021年度に繰り越して使用することとした。 また、2020年度に予定していた個別の大学アーカイブズ・図書館所蔵資料の調査・収集はCOVID-19感染の影響で実施できず、2021年度に実施することに変更した。このため2020年度に予定していた「旅費」は、使用せず、2021年度に繰り越して使用することとした。2021年度においても「旅費」の使用が困難な状況が続く場合には、可能な限り、古書籍購入による資料収集(「物品費」での使用)とそれによる分析を進めることとする。
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Research Products
(8 results)