2020 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ総合大学における学校教員養成組織・機構の再編成とその課題
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19K02481
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
吉岡 真佐樹 京都府立大学, 公共政策学部, 研究員 (80174895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教員養成 / 教師教育 / 教師教育センター / 教育学院 / 教職課程 / ドイツ総合大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新型コロナウィルスの蔓延という状況下で、予定していた現地調査を行うことができなかった。またドイツ大学の教員養成組織・機構の改革事業自体も停滞を余儀なくされている。このような状況のなかで、研究作業はインターネットを通じた資料収集を中心に改革の全国的な概要を整理することにとどまった。 連邦政府は2013年に「教員養成の積極的質向上プログラム」を策定し、2014年~2023年の10年間に教員養成改革に取り組む大学に対して5億ユーロの競合的資金を支出している。49プロジェクトがその対象となっており、この資金をもとに改革が進行中である。 プロジェクトの実像は多様であるが、多くの場合「教職センター」および「教育学院(School of Education)」の確立と機能の強化が中心課題となっている。昨年度調査を行った、ビーレフェルト、ケルンなどの大学に加えて、ミュンヘン工科大学、ベルリン工科大学、ベルリン自由大学、エルフルト大学などが積極的な取り組みを行っている。ただし「教職センター」ないし「教育学院」の定義・機能・役割を州レベルで確定している州は6州のみであると指摘されている(ウェブサイト「モニター教員養成」)ように、まさに改革の途上であるという状況である。 また、今後ギムナジウムを除く全ての教員種で教員不足が予測されており、それへの対応として、またMINT教科(数学、情報、自然科学、技術:英語ではSTEM教科)教員の質・量の強化のために、正規の養成コースを経ない「横入り教員」「側道教員」の制度化が提起されており、大きな議論となっており、今後の動向が注目される。 なお、以上の成果の概要は、名古屋大学高等教育研究センター第191回招聘セミナー(20年11月26日)で「ドイツにおける大学制度改革と教員養成」と題して報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究2年目に当たる本年は、ニーダーザクセン州、ハンブルク州、バイエルン州、チューリンゲン州、ブランデンブルク州などの大学で現地調査を予定していた。しかしコロナ禍の下で、それを実現することは全くできなかった。ズームやインターネット等を使っての日本国内からの聞き取り調査も可能であるが、改革の現状をリアルに把握するためには現地調査が不可欠である。さらに、2021年度についても現地調査が可能となるか余談を許さない。状況は厳しいが、必要ならば研究の延長申請を行い、是非とも現地調査を実現したい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの蔓延の結果、研究予定が大幅に遅延しているが、当初の予定通りの計画で調査を実施したいと考えている。ただし状況の改善が見通せない場合には、昨年度調査を行った大学、および調査予定の大学の教職課程担当者に、文書での質疑応答およびズームなどを使った聞き取り調査を行い、研究の進展を図る予定である。 また引き続き、この間行っているインターネット等を通じた資料の収集と体系的な整理を進めたい。
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Causes of Carryover |
本研究の助成金の大半は、ドイツでの現地調査とその際の人件費に充当する計画であった。しかし新型コロナウィルスの蔓延により、ドイツ入国およびドイツ大学での聞き取り調査は不可能となった。そのため、本年度予定していた調査を次年度に回すこととし、2021年度にまとめてあるいは複数回調査を行うことを予定している。 ただし2021年度も状況が十分好転しない場合は、研究期間の延長を申請する予定である。
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