2020 Fiscal Year Research-status Report
Happiness for sustainable development among Japanese teacher
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19K02488
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
高木 亮 就実大学, 教育学部, 准教授 (70521996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
露口 健司 愛媛大学, 教育学研究科, 教授 (70312139)
高田 純 東京工業大学, 保健管理センター, 特任講師 (30647475)
清水 安夫 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (00306515)
神林 寿幸 明星大学, 教育学部, 講師 (70785279)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教職キャリア / 幸福感 / キャリア発達 / 働き方改革 / 学校改善 / エビデンスとナラティブ / ワークライフバランス / 研究倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
教職員(教師だけでなく管理職やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育事務職員など学校での職種全般を意識する)の持続的な職能成長(Professional Growth)と職業生活の発達(Career Development)を可能にするような幸福感の確保方法を研究している。幸福感を「中長期的に職業を中心とした人生の内実(キャリア、以下「職業人生」)を豊かにする原動力」として定義する。その上で幸福度を1~3項目程度での“極力簡単で網羅的”で“中長期の縦断性を意識”した測定とその確保の方法を探求している。 初年度(平成31・令和元年度)末に概ねのデータ判断の上で幸福度を“楽しい(短期的感覚)”と”充実(楽しくなくとも将来のキャリア発達を展望する感覚)”の2項目測定が現実的かつ効率的であると仮説的定義設定を行った。 二年目(令和2年度)を見据えて蓄積してきた量的・質的両面でデータとその把握、規定要因探求していた。しかし、2020年2月ごろからのコロナ禍により「教員免許更新講習や教職員の悉皆研修等を通して楽しみつつ行いうる自己分析・個人介入とともに,無理なく学校園の経営・改善さらに地域教育経営に参考情報を提示できる測定・分析・改善」(昨年度本科研「研究実績の概要」)といった実践研究自体がほぼ実施不可能となっている。そこで、収集済みのデータの分析とともに、事前には想定していなかった職業生活・幸福感過程の背景要因の検討に注力した。具体的には質的研究における倫理的課題である。特に質的な職業生活調査データでは「人に明かしにくい」や「分析対象・研究公開対象とすることに倫理的留意を要する」課題が初年度から多数見つかっている。想定以上に結婚や育児、介護、闘病、私的人付き合いなどが職業生活・幸福感過程に大きな影響を与えていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
職業人生全体像を豊かにする中長期的な幸福感という単体調査等では検証困難な議論を本研究は目指す。学際的な共同研究者群の貢献により複数の調査研究の幸福感と幸福度(「幸福感を量的に把握する場合、測り切れない要素が多いながらも概ねの信頼性・妥当性を有する指標」と位置付けて「幸福感」と「幸福度」の2単語を使い分ける)に関係する分析結果の持ち合いと議論を通して見通しを得た。しかし、以下の2点で大幅な研究企画の遅れと方針再修正が必要となった。 1点目は2020年2月からのコロナ禍である。「教員免許更新講習や教職員の悉皆研修等を通して楽しみつつ行いうる自己分析・個人介入とともに,無理なく学校園の経営・改善さらに地域教育経営に参考情報を提示できる測定・分析・改善」(昨年度本科研「研究実績の概要」)がほぼ新規には実施不能となっている。 2点目は質的調査を併用したところ、量的調査とは「全く異なる」または「あまりにも表面しか測れていない」と感じるほど多様で影響力の大きい「職業生活・幸福感過程の背景要因」群が確認されたことである。これらは調査協力者の信頼を得れば得るほど「軽々にデータ化または公開してはいけない」ような倫理的課題があるといえる。 上記1点目の課題は本科研を令和3年度に完了する限り克服不能な課題であると考え、本研究既蓄積データの公開とともに、上記2点目の課題に関する議論に注力することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研申請時の第一の目的である“幸福度測定方法論の検討”については“楽しい”と“充実”をあわせて幸福度(数量測定可能な範囲の幸福感)としつつ,職業生活と私生活を可能な限り各々あわせて調査を進めていくこととする。この幸福測定の定義の方針の特徴と限界は現在,論文を一部寄稿完了し、現在も複数が投稿中である。その意義は丁寧な投稿論文の整理と公表を重ねることで概ね達成し得るといえる。幸いにもコロナ禍以前に、現職教職員向けの研修会等でデータ収集に努めており、質的・量的データ収集年間300蓄積などを目標としている。なお、教職志望高校生向けの運用も想像以上に好評でありデータ蓄積を進めている。 本科研申請時の第二の目的である“幸福度規定要因の検討”については上述のように職業生活と私生活の両面の規定要因を各々探る調査を行う。私生活に関する調査は調査協力が得られにくいものの、信頼を得ることで少しづつ有益なデータ収集が進んでいる。しかし、倫理的にも配慮を要する部分が多く現在のところデータ収集量だけでなく分析後の発表の仕方についても留意や制約点が多い。そのため,量的研究(心理尺度的なアンケート調査等)と質的研究(自由記述分析やインタビュー調査)の関連とともに既収集データを「どのようにしたら倫理上問題なく分析・検討・公刊の過程を果たせるか?」の枠組みの議論を公開の場で検討することとしている。 なお、初年度末より国際的議論・理論公開を目指してきたが、コロナ禍で国際学会参加等はいずれも白紙となり、令和2年度より当該企画予算を英語論文化などの委託費用に転用している。早急にこれらの英語化した研究成果をインパクトファクター的要素を勘案し世に出していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により予定していた国内研究出張と国際研究出張が全く行いえなかった。最終年度(令和3年度)は「研究出張の代替として充分な成果」をあげることを目指し、2年分の積極的予算執行を計画している。
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Research Products
(4 results)