2023 Fiscal Year Annual Research Report
中国の小中学校における学校と地域の連携・協働に関する研究
Project/Area Number |
19K02496
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上田 孝典 筑波大学, 人間系, 准教授 (30453004)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 校外教育 / 家庭教育 / 愛国主義教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中国の小中学生が放課後にどのような活動を行っているかを明らかにしようとしたものであり、その背景には学校における「素質教育」の方針に基づき外部講師を招へいして実施する「校本課程(School based learning)」の広がりがみられ、また少年宮や青少年活動センターなどでの校外活動の展開がみられているため、その実態を踏まえて考察することが目的であった。初年度は、広東省における2小学校を調査し、校長などへのインタビューを実施した。しかしその後のコロナウィルス感染症により、現地での調査が不可能となった。またその後も、現在に至るまで中国内の政情により日本からの渡航に制限がかかっている状況であり、調査の遂行が困難であった。 しかしこの間、例えば2021年に「義務教育段階の子どもの宿題の負担と校外教育の負担をさらに軽減することに関する意見」や「国民フィットネス施設建設の強化と生涯スポーツの発展に関する意見」が出され、「家庭教育促進法」が制定された。また2023年には「愛国主義教育法」が制定されるなど、子どもたちの学校外教育をめぐって関連する政策が展開されており、これらの背景を踏まえた考察を文献研究として行った。その成果は『東アジア社会教育研究』などで政策動向としてレビューしているが、学校の補習を主目的とした民間の教育産業を禁止しながら公的な体験型、非教科型の教育活動へと転換させ、また日常生活にスポーツを定着させるなど、子どもの個性と発達を尊重した教育を保障しようとする一方、学校内外での愛国主義教育に基づくイデオロギー強化と子どもの健全育成を家庭教育(保護者)の責務に位置づけるなど、子どもの内心に関わる管理強化が同時に進められていることを明らかにした。
|