2019 Fiscal Year Research-status Report
「遊ばない」子どもの特徴にみる小学生の遊びの質と21世紀型教育スキル獲得の関係性
Project/Area Number |
19K02581
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
粟原 知子 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 講師 (80608753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊澤 栄二 石川工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (30321425)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子ども / 小学生 / 遊び / 21世紀型教育スキル / 生活 / 遊ばない / 北陸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小学生が遊びで育む教育的スキルの種類とその必要性について、「遊ばない」子どもと「遊ぶ」子どもの違い・特徴から明らかにし、遊びを阻害する要因を特定するとともに、小学生に豊かな遊び環境を保証する意義を広く社会に周知することである。 今年度は、研究計画の通り、2017年に福井県で実施したアンケート調査の分析を行った。その結果「遊ばない」子どもは、読書量が多く、TVや電子機器・ゲーム機の利用時間が短い傾向にあることが分かった。一見真面目で学習意欲が高いようにみえるが、塾・稽古事の日数の多さ、学童保育の利用率も高いことから、遊び相手の選択肢が少なく、自由な遊びの体験が乏しいとも考えられ、これが遊び意欲の低さに影響していると推察した。「3時間以上」と長時間遊んでいる子どもは、自由にのびのびと子どもらしく遊ぶ子がいる一方で、メディアやインターネット、ゲーム依存に陥っている子どももおり、遊びの質が二極化している可能性が高いと考えられる。また、「遊ばない」子や「3時間以上」遊ぶ子どもに孤独化の傾向が高いことからも、遊ばずに勉強に励む子どもだけでなく、放置状態にある子どもへの遊び環境保障にも目を向けるがある。 以上のことから、現代の子どもに孤独化の問題があり、ゲームやネット環境が遊びに大きく影響を与えていると予測し、調査票の見直しを行った。過去20年間に調査を実施している石川県の小学校3校を対象に、プレアンケート調査を実施し、「遊ばない」子どもの割合は、2019年には16.4%と上昇したが、同時に10年前に比べて「4時間以上」遊ぶ子どもも増加していることが確認できた。過去2時点と比較して、塾・習い事の日数も増加しており、平日の放課後における自由な時間はさらに減少したと考えられるが、同時に放置状態にある子どもも増加したと想定し、次年度の本調査に向けて分析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
プレ調査を実施した事により、当初の予定よりも精緻な分析が可能となった。次年度以降に実施する本調査にもこの結果を反映させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本調査を実施する予定であるが、新型コロナウィルス感染拡大による小学校の休校措置に伴い、調査実施が困難なことが予想される。本研究では、季節によって結果が左右されやすい遊びを調査対象としているため、過去の調査時期と同様に秋季(11月)での調査を予定している。また、調査結果の公平性を考え、アンケート調査は、小学校の授業時間等を利用し、担当の教員立会いのもと実施してきた経緯がある。今年度、調査が実施できない場合は、昨年度のプレ調査の分析作業をメインに行う事とし、新型コロナウィルスの状況に合わせてアンケート調査を実施したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、中止した出張があったため。また、謝金については、フィールドワークを一部実施せずに調査票の見直しを行い、新規アンケート調査実施に切り替えたため差額が生じた。次年度は、本調査を実施するため出張旅費、人件費、物品費等として使用したい。
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Research Products
(4 results)