2019 Fiscal Year Research-status Report
社会的相互作用や生活環境が、子どもの認知機能や社会能力に与える影響
Project/Area Number |
19K02611
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
齋藤 大輔 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (30390701)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丁 ミンヨン 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特命講師 (10774466)
藤澤 隆史 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 講師 (90434894)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 脳機能画像 / オキシトシン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今の教育現場で指摘されている学級崩壊や学力低下などの問題には、児童の認知機能(注意・抑制)や学習能力、社会的能力の影響だけではなく、親子関係などの日常生活での社会的相互作用が関係している。その日常生活での社会的相互作用は、生体内のオキシトシンなどの内分泌系の働きを調整することで、認知機能や社会的能力に影響していることが報告されているが、未だ不明な点が多い。そこで、幼児期からの親子関係などの社会的相互作用が子どもの認知機能や社会能力に与える影響について、認知心理学的検査・質問紙検査・脳機能イメージング検査・唾液中の内分泌系検査などの最新の手法を組み合わせて明らかにする。 本研究は、親子関係などの社会的環境要因が、子どもの認知能力にどのように関与していることを明らかにする研究である。その際に、認知機能検査、MRIを用いた脳機能や構造、唾液中オキシトシン濃度の計測を行うことで、生活環境・認知機能・脳機能・生理機能の関係性を行動心理学・脳科学・生化学的指標との関連にて解明する。子どもの行動を、環境要因・心理的要因・生理学的要因の関係を融合させた多面的アプローチにより、未だ明らかになっていないメカニズムの解明を行う点、幼児を対象としてMRI実験を行う点において、重要かつ独創的な研究である。 研究データの取得については、1) 金沢大学附属病院所有のGE社製3.0T MRI装置を用いて、脳機能・構造イメージングデータを取得、2) 実験者や臨床心理士などによる、子ども個人及び親子間の親密度のデータ、日常の生活環境の質問紙データを取得、3) 簡便で非侵襲的な手法による唾液の採取(サリキッズ)を行う。 これらの手法は、既に申請者が確立させており、多数の実績がある。今までの経験をもとに何ら支障なく遂行ができ、さらなる多数の新知見を得ることが期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおりに、子どもの脳構造をMRIにより撮影を行っている。特に小学校低学年児のMRI撮影が成功しはじめており、データの蓄積が期待される。 また、各種質問紙のデータも取ることにより、脳と行動との関係について比較を始められるところである。また、オキシトシンの採取においても、順調に進んでおり、今後の解析を待っているところである。 これまでの予備調査により、実験課題(反応抑制)の選定も進み、進捗状況は順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに取得されている、脳構造・脳機能データと、子どもの日常についての質問紙、保護者へのアンケート、反応抑制能力を評価する実験課題、唾液中オキシトシンの濃度を関連づけて解析すると共に、データ取得を続ける。そして、それらの項目の影響・相関などをまとめるとともに、論文化を目指す。
|
Causes of Carryover |
GO/NO-GO 課題計測システム(集団用) について、希望のスペックの装置が、現在発売しておらず、代替品の購入を検討しているところである。この装置については、タブレットPCを用いることで解決可能であるが、従来品の購入を検討している。唾液のホルモン検査は、すべての唾液採取が終わってから行う必要があり、また、ホルモン測定キット(オキシトシン、コルチゾール)については、使用消費期限があったため、早期に購入しても使用しきれないために、来年度以降に購入することとした。また、被験者謝金についても、予備実験が進行中であり、本実験の開始とともに、使用する予定である。
|