2019 Fiscal Year Research-status Report
保育参加を通した親の「学びの物語」アプローチとルーブリック評価の開発
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19K02616
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
永田 誠 大分大学, 教育学部, 准教授 (50435369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雄清 大分大学, 高等教育開発センター, 准教授 (00333253)
垂見 直樹 近畿大学九州短期大学, 保育科, 准教授 (10581473)
相戸 晴子 宮崎国際大学, 教育学部, 教授 (20598122)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 親の保育参加・参画 / 親の学び / 学びの物語 / 保育の質の向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の2019年度は,研究代表者(永田)と研究分担者3名(垂見,相戸,鈴木)に研究協力者(大村綾,菅原航平,大野歩)を加えて研究組織を構成し,6月・9月・2月の計3回の研究会を開催した。 ①親の保育参加に関する実態調査≪担当:永田・鈴木≫:親の保育参加に関する実態調査は,公開シンポジウムの案内とあわせて大分県内の幼稚園・保育所・こども園438園を対象にwebでの予備調査を実施した。対象園がweb調査への参加経験が少ない等の理由から回答率が低く,調査方法としては質問紙での回答に親和性が高いことが明らかになった。 ②保護者懇談会での親の「語り」の分析≪担当:永田≫:親の「語り」の分析では,Aこども園に就園する乳幼児の親を対象に,5月,10月,3月の年3回開催される0歳児~5歳児クラスの懇談会における縦断的調査を継続して実施した。ただ,3月の懇談会は,新型コロナウィルスの感染拡大を受けて中止となり,書面での家庭(親)と園(保育者)との情報交換に代替となった。また,これまでの調査データの分析ならびに論文投稿等を行った。 ③「困難を抱える家庭」の保育参加分析≪担当:相戸・垂見≫:「困難を抱える家庭」の保育参加分析については,研究趣旨の賛同かつ長期的な参与観察可能園を選定が必要である。2019年度は,対象園の選定と協力依頼ならびに予備調査を実施し,次年度以降の観察調査実施の見通しが得られた。 その上で,研究知と実践知の往還と「子育てコミュニティ」創出に向けた信頼・協働関係構築を目的に公開シンポジウム「幼児教育・保育における「学び」と「育ち」を探る」を2020年2月22日に大分県で開催した。当日は,年度末ならびに新型コロナウィルス感染拡大の時期であったが,40名を超える大分県内外の幼児教育・保育関係者ならびに研究者等の参加があり,活発な議論が交わされ好評を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,当初の計画通りに,研究会ならびに調査を実施することができた。また,成果報告(学会発表ならびに論文投稿)も,概ね計画通りに進行している。加えて,当初は,研究終了時に実施する予定であった研究成果の公開・還元のためのシンポジウムを毎年度実施することに変更するなど,研究分担者ならびに研究協力者の意欲的な協力によって,当初の計画・到達点を超えた成果も得ることができている。 一方で,①3月に予定していた保護者懇談会での親の「語り」の調査が,新型コロナウィルスの感染拡大を受けて中止となったこと,②親の保育参加に関する実態調査(web調査)が想定以上に回答率が低かったことなどから,一部研究計画・方法を見直す必要も生じている。 以上の理由から,本研究の達成度としては,「(2)おおむね順調に進展している。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,当初の予定通り,①親の保育参加に関する実態調査≪担当:永田・鈴木≫,②保護者懇談会での親の「語り」の分析≪担当:永田≫,③「困難を抱える家庭」の保育参加分析≪担当:相戸・垂見≫,④定期的な研究会と公開シンポジウムの開催の4点に取り組む予定にしている。また,研究の成果報告についても,日本生活体験学習学会等での学会発表・論文投稿を予定している。 一方で,昨年度末からの新型コロナウィルスの感染拡大を受け,各幼稚園・保育所等での調査や学会等が中止・延期となるなどの影響が出てきており,今後の研究遂行に支障が生じることが懸念される。研究会の開催についてはweb等での会議にて代替可能であるため,当面は先行研究のレビューやこれまでの調査データの分析に注力しながら,調査対象園と相談しながら調査時期を見極めていく。また,より充実した研究成果が得られるように,共同研究者と調査計画について協議・見直しを図っていく。 なお,上記の研究推進に関する経費については,計上した予算の範囲内で調査等を実施することが可能であり,予算執行には問題はない。
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Causes of Carryover |
2019年度は,一部計画等の見直しに伴う費目等の変更や新型コロナウィルスの感染拡大に伴う調査の中止等により,次年度使用額に残額が生じた。生じた次年度使用額については,概ね2020年度の研究計画の中で適切に執行できる予定である。ただし,新型コロナウィルスの感染状況によっては,2020年度の調査にも中止等の影響が生じることが予想されるため,研究分担者・協力者等の協力を得て,調査の見直しや組織の拡充等も検討することで,当初,計画した研究目標を達成していきたい。 具体的には,①「親の保育参加・参画に関する実態調査」を就学前保育施設を対象に質問紙の実施,②「保育参加過程での親の「学びの物語」の検証」における親の「学びの物語」アプローチ調査の拡充や調査で得られた親の「学び」の記録データ蓄積のためのデータベースの開発等にて使用する計画である。
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Research Products
(13 results)