2020 Fiscal Year Research-status Report
幼小接続期における生物分野の効果的な教授法構築に関する研究
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19K02719
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
伊藤 哲章 宮城学院女子大学, 教育学部, 准教授 (50735256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 卓 郡山女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60762218)
山本 容子 筑波大学, 人間系, 准教授 (40738580)
板橋 夏樹 宮城学院女子大学, 教育学部, 准教授 (90733212)
佐久間 邦友 日本大学, 文理学部, 助教 (30761209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 素朴生物学 / 生物概念 / 擬人化 / 遺伝的特徴 / 身体的特徴 / 心理的特徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,幼小接続期における小学校教師 の生物分野の効果的な教授法を検討するため,① 幼児が日常生活での経験を通じて獲得する生物学的思考(素朴生物学)と②児童が学習によって獲得する生物学的思考(学校生物学)を実証的に分析し,③素朴生物学と学校生物学の円滑な接続に よって生じる児童の変容を明らかにすることである。そして,素朴生物学と学校生物学の相互作用に関する理論的考察によって,幼小接続期における小学校教師の生物分野の効果的な教授法を構築・提示する。 本年では、① 幼児が日常生活での経験を通じて獲得する生物学的思考(素朴生物学)について、調査・研究を進めた。 まず,幼児が日常生活での経験を通じて獲得する生物学的思考に関する保育者の意識を明らかにするため,保育者を対象に質問紙調査を行った。その結果,次の3つが導かれた。第1に,幼稚園領域環境の自然に関する内容の中で,幼稚園教諭は保育士より動植物の栽培・飼育を重視している。第2に,幼稚園教諭及び保育教諭は保育士と比較して,幼児の年齢に応じて擬人化を用いた声掛けを行っている。第3に,幼児の生物に関する素朴理論については,4歳から5歳にかけて持つようになると考える保育者が多い。 続いて,幼児の生物学的思考における身体現象の理解に着目し,幼児を対象に面接調査を行った。その結果,次の3点が明らかとなった。第1に,幼児は,修正可能・不可能という観点で,遺伝的特徴,身体的特徴及び心理的特徴を区別している。第2に,身体的特徴の修正可能を認めた幼児の多くが,その修正は身体的練習によってもたらされると回答した。第3に,心理的特徴の修正可能を認めた幼児の多くが,その修正は意思・努力によってもたらされると回答した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りに、研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は次のとおりである。 ① 幼児が日常生活での経験を通じて獲得する生物学的思考の分析(素朴生物学分析班)(a) 幼児の生物学的思考に関する先行研究の類型化(文献調査)・先行研究における素朴生物学の現状と課題(b) 幼児の生物学的思考の特質(質問紙・面接調査)・幼稚園教師の素朴生物学に対する認識・幼児の生物学的思考に関する調査 ② 児童が学習によって獲得する生物学的思考の分析(学校生物学分析班)(a) 児童の生物学的思考に関する先行研究の類型化(文献調査)・先行研究における学校生物学の現状と課題(b) 生活科及び理科の生物分野の特質(文献・質問紙調査)・小学校の生物分野に関するカリキュラムの整理・小学校教師の生物分野の教授法に関する認識(c) 児童の生物学的思考の特質(面接調査)・児童の生物学的思考に関する調査 ③ 素朴生物学と学校生物学の円滑な接続の分析(幼小接続分析班)(a) 幼小接続に関連した生物分野の先行研究の類型化(文献調査)・幼小接続期における生物分野の現状と課題(b) 素朴生物学と学校生物学の円滑な接続の検討(質問紙調査)・円滑に接続した教授法の考案・円滑に接続した教授法に対する小学校教師の認識(c) 素朴生物学と学校生物学の円滑な接続の効果(面接調査)・円滑に接続した教授法による児童の変容 上記3点の課題を明らかにすることで,幼小接続期における小学校教師の生物分野の効果的な教授法が提示できる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で対面での研究会などが実施できず、旅費の支出が少なかったため。
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Research Products
(5 results)