2023 Fiscal Year Annual Research Report
幼小接続期における生物分野の効果的な教授法構築に関する研究
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19K02719
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
伊藤 哲章 宮城学院女子大学, 教育学部, 准教授 (50735256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 卓 郡山女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60762218)
山本 容子 筑波大学, 人間系, 准教授 (40738580)
板橋 夏樹 宮城学院女子大学, 教育学部, 准教授 (90733212)
佐久間 邦友 日本大学, 文理学部, 准教授 (30761209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 素朴生物 / 幼小接続 / 生物概念 / 学校生物 / 楽天主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでの幼児の生物学的思考に関する調査を整理し、特に、幼児の楽天主義の観点から分析を加えた。その結果、以下の4点が明らかとなった。第1に、幼児は、望ましい特性は子どもに引き継がれ、望ましくない特性は子どもに引き継がれないとする傾向がある。第2に、幼児は、望ましくない特性は望ましい方向に変化すると信じる傾向がある。第3に、幼児は心理的特徴及び身体的特徴には楽天主義を適用し、遺伝的特徴には楽天主義を適用しない傾向がある。第4に、幼児は努力依存の楽天主義を適用する場合がある。幼児の楽天主義に関する今後の課題としては、次の2点があげられる。第1に、新しい技能習得への動機づけの機能を楽天主義がはたしているかどうかである。幼児は失敗経験が多いにも関わらず、技能習得への意欲を失わずにいられるのは、 楽天主義が動機づけとして働いている可能性がある。第2に、努力依存の楽天主義が、幼児期にどの程度みられるかである。努力依存の楽天主義は、児童期に強まるとする研究があるなかで、幼児期でも特性変容には努力・練習が必要とする思考をどのくらい保持しているかを更に確認する必要がある。最後に、幼児の心の理論に関する課題には限界があることを付言しておく。なぜなら、幼児が、調査で使用されることばの理解や課題の質問の意図にしたがう能力を必ずしも持ち合わせていると はいえないからである。これについて、マイケル・シーガル(2010)は、質問の意図や関連性を子どもが誤って解釈する可能性を極力減らすような課題を構成すれば、3歳までに、多くの子どもが心の理論の課題に正しく答えるようになると述べている。
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