2019 Fiscal Year Research-status Report
Development Program for Enhancement of Elementary School English Education on the basis of Language Acquisition Theory
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19K02758
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
菅井 三実 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (10252206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 幸夫 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (10207368)
黒滝 真理子 日本大学, 法学部, 教授 (20366529)
八木橋 宏勇 杏林大学, 外国語学部, 准教授 (40453526)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小学校英語 / 意図理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小学校英語教育の学習内容を充実させるため、言語獲得理論を援用しながら学習プログラムを開発しようとするものであり、2つの目的を包含している。その目的の第1は、英語練習用のダイアログに学習者の「意図理解」を反映させることによって意図理解過程を含んだ現実的なコミュニケーションを支援することであり、第2の目的は、小学校英語教育において自分の言いたいことを英語で言うための補助的な「テンプレート(文章レベルのスキーマ)」を作成し活用できるようにすることである。これによって、小学校における英語教育において意図の理解を最適化することを目指すものである。 一般に、対人コミュニケーションにおいて他者の意図の読み取りは本質的な営みである。意図を読むことができれば発話された英語が完全でなくても理解することができるし、逆に意図を読むことができなければ発話された英語の文字通りの意味が理解できても他者を理解したとは言いがたい。小学生による意図の読み取りは、母語、すなわち日本語での会話においてはごく普通に行われているが、外国語の学習になると突然のように出来なくなってしまう。こうした状況を踏まえて、本研究は、日本語での会話における意図の読み取りをメタ言語的に意識化する練習をした上で、英語における意図の読み取りを向上させようと試みるものである。 2019年度は、問題点の整理と検討からスタートした。小学校での研究授業に備えて、具体的な手続きを整理する中で、児童の日本語の発話を研究代表者自身が手作業で英訳するという当初の計画に非効率さを認識するに及び、その手順の変更を模索するに至ったところである。この変更が、計画遅延の要因の1つにもなったという側面も否定できないものの、結果的には、研究の質を上げることになっていったものと自己評価しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、3カ年にわたる研究計画全体の1年目であり、本研究がやや遅れを見せていることには2つの理由が挙げられる。1つは、人為的な理由であり、当初の研究方法に修正を加える作業に取り掛かったことにある。具体的には、児童の日本語での発話を英訳するに当たり、研究代表者が手作業で翻訳するのではなく、POCKETALK(ポケットーク)という機器を導入することを計画に取り入れようとしているところである。2つ目の理由は、新型コロナウィルスの拡大回避の観点から、3学期に予定していた小学校での研究授業が計画通りに実施できなくなったことである。2点目については、2020年度の夏までは小学校の現場の混乱を考慮し、積極的な協力依頼を自粛すべきという認識から、さらに計画が遅れることも予想される。このため、2年目に予定していた計画の一部を3年目に移行することを視野に入れ始めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現実のコミュニケーションに不可欠な<意図理解>を英語学習で実現するため、児童が日本語で自発的に話した内容を、その場で英語により発話できるよう計画の再構築に取り掛かったところである。これにより、児童は発話の中にどのような意図が含まれるかを潜在的に知っている状態で会話を交わすことが可能になるが、この点に関する大きな計画変更は、児童の発話を英語に翻訳するにあたり研究研究代表者自身が「手作業」で英訳する方法から、POCKETALK(ポケットーク)の利用に切り替えようとするところにある。この措置により、実際の発話場面におけるタイムラグを回避することができる期待できる。最後に、児童が日常的に話す会話の内容から、汎用性の高い表現を平明な英語に訳し、練習用のセリフとして活用する。再生テスト(recall test)によって改善点の洗い出しと標準化を図る。 2021年度は3カ年の最終年度にあたるため、出版に向けた準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、2019年10月に参加を予定していたシンポジウムが台風の影響で中止になったことに加え、消耗品の購入に際して、年度末に発注しようとしたものが納品に時間を要することとなったため、年度内の支払いができなくなったことによる。 次年度使用額の使用計画としては、あらためて2年目に発注を掛けることで従前の計画に沿った研究が進行できるものと思われる。
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Research Products
(9 results)
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[Book] ことばから心へ2020
Author(s)
米倉 よう子、菅井三実、八木橋宏勇ほか
Total Pages
448
Publisher
開拓社
ISBN
978-4758922821
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[Book] 認知言語学 Ⅰ2020
Author(s)
池上 嘉彦、山梨 正明、黒滝真理子ほか
Total Pages
420
Publisher
ひつじ書房
ISBN
978-4894766709
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[Book] 認知言語学 II2020
Author(s)
池上 嘉彦、山梨 正明、菅井三実ほか
Total Pages
436
Publisher
ひつじ書房
ISBN
978-4894766716
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