2021 Fiscal Year Research-status Report
生徒指導困難校における児童生徒支援加配の実証的効果のあり方に関する研究
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19K02800
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Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
中野 澄 大阪成蹊短期大学, グローバルコミュニケーション学科, 教授 (70741940)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生徒指導 / 暴力行為 / 児童生徒支援加配 / 不登校新規数 |
Outline of Annual Research Achievements |
暴力行為と不登校に関するデータ収集については、ベースとなる1府県教育委員会の協力を得ながら計画的に行えている。モデル市として過去2年間にわたり連携してきた当該府県内2市については、当初予定していた研究期間が切れたことから、改めて継続の可否を打診し調整している状況である。 聞き取り調査については、生徒指導上の課題の状況に応じた「管理職のリーダーシップのあり方」「生徒指導担当教員の役割」「特徴的な生徒指導体制」について可能な限りヒアリング調査を実施した。複数の地域の管理職や教育委員会関係者、専門家等が一堂に会する分析会議の開催については、コロナ禍の影響で日程調整が難しく、ヒアリング調査で先方を訪問した際に前後の日程を工夫し、近隣小中学校の管理職や府県及び市教育委員会生徒指導担当者、臨床心理士や社会福祉士等との協議を重ねている。協議からは「質問紙調査の新たな分析の観点」や「市教育委員会での施策化に向けた課題」等、データや一部学校のヒアリング調査だけでは得られない分析の視点を得た。 不登校の効果指標に関する追跡調査については、6府県教育委員会の協力のもと、継続して取り組んでいる。しかし、暴力行為に関する調査と同様に、コロナ禍による緊急事態宣言の対応等で教育委員会及び学校関係者との日程調整がなかなか整わず、データは計画的に収集しているもののその要因を丁寧に探るためのヒアリング調査は滞っている。 これまでに得られた研究成果については、連携している府県教育委員会主催の児童生徒支援加配教員を対象とした研修会や連絡会で発表するとともに、モデル校である学校については、年間2~3回訪問し学校別の成果についても示しているところである。 海外視察については、年度末を予定していたが、新型コロナの影響で延期を余儀なくされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の対応として、研究対象の教育委員会や学校が、他府県からの来訪を制限している期間が断続的にあり、特に現在勤務する大学のある大阪府においては、罹患する人数が全国的に多いことから、大学の予防体制と先方の受け入れ態勢の両面から聞き取り調査が進まず、研究計画を何度も変更している状況である。 暴力行為発生件数、不登校児童生徒数については3府県教育委員会の協力のもとデータは計画的に収集できているが、上記の状況により教育委員会指導主事や管理職・児童生徒支援加配教員への聞き取り調査が滞っているため、前年度に引き続き、新たな協力校を追加して近距離でのヒアリング調査を行う等の研究計画の修正を行っている。 加えて、コロナ禍のこの2年間、休校を含む学校の緊急対応や集団指導に対する保護者の警戒心は、従前の学校教育における対応の想定範囲外であり、こうした環境の激変が生徒指導の課題に与える影響も丁寧に追っていく必要があると考える。 データ調査においても、前回科研調査(コロナ禍以前)結果と今回の調査結果を単純に比較して、暴力行為や不登校に関する児童生徒支援加配の実証的効果を見出すことが妥当性のあるものかは疑わしい。むしろ、このコロナ禍の対応が断続的に数年続くという想定のもと、指定校での暴力行為や不登校の推移を調査し、コロナ禍前と比べ児童生徒支援加配の果たす役割の何が変わり、何が変わらないのかを丁寧に聴き取り、その結果をコロナ禍前のデータと比較することが、新たな状況下での児童生徒支援加配の在り方の提案に有効ではないかと考えている。以上の考えから、聞き取り調査の観点を練り直している。 海外視察計画については変更を余儀なくされており、計画中止も含めて状況を見守りつつ計画の変更を図りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はデータの推移だけでなく、その背景にある要素を児童生徒支援加配の果たす役割という視点で検証することが主眼であるため、学校関係者へのヒアリング調査や授業参観等を通じて児童生徒の状況を把握する学校訪問が欠かせない。しかし、新型コロナの影響で学校訪問は延期せざるを得ず、指定校の協力体制は変わっていないものの、なかなか見通しが立ちにくい状況が続いている。 当初に提出した研究計画の枠組みをできるだけ維持しつつ、コロナ禍の影響も見極めながら、引き続きデータ収集と児童生徒支援加配教員及び管理職等へのヒアリング調査を進めていくとともに、訪問時を利用して授業参観だけでなく、当該地域で活動している臨床心理士や社会福祉士等専門職へのヒアリング調査も継続していく予定である。しかし、全体計画の60%程度しか進んでいないため、2022年度のコロナ禍の状況によっては研究期間の再延長も申請する必要があると考える。
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Causes of Carryover |
研究計画が遅れているために使用額も延長することとなった。コロナ禍の対応も一定のめどが見えてきたように思えることから、今年度はできる限り計画的に活用したいと考えている。
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