2019 Fiscal Year Research-status Report
防災の視点を持つ教員の養成・研修に向けた教材研究ならびにプログラム開発
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19K02829
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
酒井 多加志 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70241403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 隆 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40389648)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 防災教育の教材化 / 学校現場における防災対策 / 防災の視点を持った教員の養成 / 防災まち歩き |
Outline of Annual Research Achievements |
・防災教育の教材化に向けての調査に関しては、広島県坂町、熊野町、安浦町および岡山県倉敷市真備地区において平成30年西日本豪雨に関する現地調査を、宮城県および岩手県の三陸海岸において東日本大震災に関する現地調査を行った。研究の成果は令和2年度以降の大学の一般教養の講義「子ども・地域と防災教育」および教員免許状更新講習「自然災害と防災を考える」に反映させるとともに、著書『地図から読み解く自然災害と防災(減災)』に追補として加筆した。 ・学校現場における震災時および震災後の対応、防災対策に関しては、岩手県大槌町の旧赤浜小学校ならびに陸前高田市の高田第一中学校を事例に、聞き取り調査を実施した。研究の成果は令和2年度以降の「子ども・地域と防災教育」および教員免許状更新講習、北海道教育大学附属釧路小・中学校の研究授業に反映させる。 ・防災の視点を持つ教員の養成に関しては、岩手県の三陸海岸において地理学実習(8名参加)を実施した。実習では岩手県大槌町の中心市街地を対象に区画整理後の土地利用調査を、山田町の中心市街地を対象に聞き取り調査および景観観察を実施した。現在、両地域での調査結果を論文としてまとめている。 ・学校現場での防災教育の実践と検証に関しては、岩手県気仙沼市および陸前高田市において聞き取り調査を実施した。今後、調査結果を基に附属釧路小・中学校において授業実践ならびに検証を行う予定である。 ・自治体や地域住民への研修に関しては、道東技術士委員会の委員および釧路市職員を対象に防災まち歩きの指導および講演を行った。また、釧路市教育委員会刊行の釧路叢書『釧路の自然災害と防災(仮題)』を令和3年度末に出版することになり、現在資料収集を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査は、広島県、岡山県、岩手県、宮城県において、計3回実施した。科研費の配分額が申請よりも削減されたため、静岡県での学校現場における地震・津波対策に関する調査は断念したが、上記4県での調査は計画通り実施できた。現在、岩手県での調査結果を論文としてまとめているところであり、研究成果の発表は順調に進んでいる。また、調査の成果の一部は令和元年度の教員免許状更新講習において反映させることができた。従って、防災教育の教材化に向けての調査および防災の視点を持つ教員の養成に関しては順調に進んでいるといえる。 学校現場での防災教育の実践と検証に関しては、宮城県および岩手県での聞き取り調査が予定通りできた。現在、附属釧路小・中学校においてボードゲーム作成を行うなど、実践に向けて取り組んでいる。検証するまでには至っていないが、実践に関しては順調に進んでいる。 自治体や地域住民への研修に関しては、令和元年度の計画にはなかったが、釧路市において実施することができた。このことに関しては、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
・新学習指導要領に則った防災教育の教材化ならびに人材養成プログラムの開発・・・令和2年度、3年度は防災教育に関して先進的な取り組みが行われている宮城教育大学、兵庫教育大学、環境防災科を設置する兵庫県立舞子高校を訪問し、情報収集ならびに情報交換を行う。上記の調査に平行して、北海道東部・奥尻島(地震・津波、河川水害対策)、三陸海岸(津波災害の復興)において現地調査を実施し、最新の情報を取り入れた防災教育の教材開発ならびにテキストの作成を行う。本調査で得られた成果は令和3年度以降の大学での防災教育の講義、教員免許状更新講習、北海道教育大学附属釧路小・中学校での授業実践および地域での防災に関する講習等において活用する。 ・理論と実践の往還に基づく防災教育の授業案の提示・・・令和2年度、3年度はこれまでの調査を基に附属釧路小・中学校において防災教育の授業実践を行う。授業観察ならびに児童・生徒へのアンケートを通じて問題点を明らかにし、再度授業案を作成、授業実践を行う。さらに、ここで得られた成果を学校現場に発信していく。 ・学校現場における防災対策・避難所運営についての調査と分析・・・令和2年度、3年度は津波災害に対して先進的な取り組みが行われている高知県ならびに釧路市・白糠町の学校、教育委員会で聞き取り調査を実施する。得られた結果をもとに学校現場における防災対策と避難所運営についての現況と課題を明らかにし、防災対策と避難所運営のあり方について検討する。さらにここで 得られた成果を学校現場に発信していく。 ・令和4年度は上記の研究成果の発表を順次行っていく。 なお、コロナウィルスの関係上、令和2年度の調査は予定通り進まない可能性がある。その場合は、次年度に持ち越すこともありうる。また、一般市民への授業公開はコロナウィルス感染予防のため、令和2年度は実施しない。
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