2020 Fiscal Year Research-status Report
性の多様性を包摂する小学校国語科教育カリキュラムの開発
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19K02849
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
原田 麻詠 (永田麻詠) 四天王寺大学, 教育学部, 准教授 (10612228)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 性の多様性 / クィア・ペダゴジー / ジェンダー / 言語感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、国語科の目標に位置づけられる「言語感覚の育成」を焦点化して、先行研究からの知見を得ながら、性の多様性を包摂する国語教育で育てるべき言語力を具体化した。特に、学習者自身にある男女二元主義や異性愛主義といった価値観を国語科の学習対象とすべく、自分や周囲が用いる言葉に対する感覚を磨くための授業実践案について、新しくなった小学校国語科教材を用いながら提案した。 さらに、今年度の研究成果をこれまでの成果とあわせて、批判的リテラシーの育成や文学教育、言語感覚の育成という観点から発達段階に沿ったカリキュラムとして構成している。そして構成した具体的実践案やカリキュラム案を、人権教育や人権保育の研修会講師として行った講演内容に盛り込むことで、学校現場や保育現場への周知を図った。 なお、今後は小中連携を意識しながら、中学校国語科における授業実践案やカリキュラム案の提案を行うこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
性の多様性を包摂する国語教育の具体化として、国語科の目標に位置づく「言語感覚の育成」について、先行研究をふまえた提案を論文化することができた。また、学習指導要領改訂に伴う新しい小学校国語科教科書の分析も進めることができた。 ただし、性的マイノリティとされる当事者を対象とした実態理解のインタビューについては、感染症の影響から、昨年度より引き続き十分に行うことができなかったので、来年度の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では、中学校国語科における性の多様性の包摂について、その可能性を探りながら小学校国語科教育のカリキュラムをさらに具体化していく。なお、本年度で新しくされる中学校国語科教科書の分析を行いながら、学校現場からの研究協力を得て、国語科授業の具体化を進めることとする。 特に2020年度までで取り組んだ、批判的リテラシー教育や言語感覚の育成に関する研究成果をふまえながら、今後は語彙指導に着目して性の多様性を包摂する国語科カリキュラムについて整理を加えていくこととする。
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Causes of Carryover |
昨年度からの感染症拡大に伴い、ほとんどの学会がオンライン開催となり交通費としての使用がかなわなかった。また、対面での聞き取り調査に関しても十分に行うことができず、調査にかかる交通費や人件費等が不要となった。 ただし、新しくなった小学校国語科教科書と各指導書等が購入できたことに加えて、今年度は新しくなる中学校国語科教科書および指導書を購入予定である。また、オンラインによる人権研修会講師等で必要となるオンライン講演のためのモバイルパソコンや機材等を購入予定とする。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 保育内容「言葉」―話し、考え、つながる言葉の力を育てる―2021
Author(s)
川俣沙織 , 渡邉望 , 森木朋佳 , 島田知和 , 中山智哉 , 永田麻詠 , 大元千種 , 岡本満江 , 山本直樹 , 下川涼子 , 大谷朝 , 高橋さおり
Total Pages
234
Publisher
同文書院
ISBN
978-4-8103-1506-6