2020 Fiscal Year Research-status Report
ニーズ表明の難しさを踏まえた対話プロセスを実現する:発達障害の子どもと合理的配慮
Project/Area Number |
19K02904
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 由里子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (10466865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 ルミ 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教育学研究員 (30726203)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 合理的配慮 / 建設的対話 / 障害の社会モデル / ニーズ表明 / 社会的障壁 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、合理的配慮を要望する時の「入り口」となるニーズの表明段階において、障害のある子どもが感じている難しさ(「言えなさ」や「言いにくさ」)に焦点をあて、そうした難しさの社会的(環境)要因を特定するとともに、それを緩和する「建設的対話」の方法を模索することを目的とする。 2020年度前半は、昨年度に引き続き、子どもたちを対象としたヒアリング調査と調査結果の分析を行うとともに、分析結果にもとづき、子どものニーズ表明を難しくしている社会的要因への認識を促す研修プログラム(基礎編ver.1)と、子どもが直面している困難の建設的対話を通した解決を促す研修プログラム(実践編ver.1)の開発を行った。なお、基礎編は2020年11月に学校関係者248名を対象に、実践編を2021年2月に116名を対象にそれぞれ試行実施した。 また、研修プログラムの効果を検証するため、ver.1の受講者全員にアンケート調査を実施するとともに、協力者数名に約1時間のインタビュー調査を実施した。アンケート調査とインタビュー調査の結果を受け、基礎編ver.2の開発を行った(2021年4月に152名に実施済)。 さらに、研修内容の概要を「合理的配慮の誤解を解く鍵は「社会モデル」にある」 を題した記事(全4回)で紹介した。記事は、下記ホームページに掲載されている。 https://www.ledex.co.jp/mailmag/
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、研修プログラムの試行実施は2021年度を予定していたが、Zoom等を用いたオンライン研修の実施が容易になったことで、2020年度に実施することができた。他方、予定されている書籍の出版が遅れているため、本研究の理論的成果の公表が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の柱の一つである学校関係者向け研修・教育プログラムの開発の目処は立ったため、最終年度となる2021年は、これまでの成果の公表に力を入れたい。学会等で報告する他、さまざまなメディアを駆使し、ヒアリング調査の結果や開発した研修・教育プログラムの内容およびその効果に関する情報を発信していく。
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Causes of Carryover |
ヒアリング調査や研究協力者との意見交換会をZoomで実施したため、交通費や人件等が予定額を大幅に下回った。2021年度は、2020年度に開発した研修・教育プログラムの完成版作成のため、イラストや動画の制作等を外部委託し、費用を研究費から支出することを予定している。
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