2020 Fiscal Year Research-status Report
発達障碍児の行動調整機能の改善を目指した「動物との接触行動プログラム」の開発
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19K02940
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
水田 敏郎 仁愛大学, 人間学部, 教授 (00340034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 沙央里 仁愛大学, 人間学部, 助手 (60845139)
氏田 麻美 仁愛大学, 人間学部, 助教 (10782229) [Withdrawn]
大平 壇 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30322283)
大森 慈子 仁愛大学, 人間学部, 教授 (90340033)
山岸 厚仁 仁愛大学, 人間学部, 助教 (10881790)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 手・指の運動 / 生活経験 / 視運動訓練 / 発達障碍 |
Outline of Annual Research Achievements |
知覚-運動系機能に問題を抱える発達障碍児の行動調整機能改善のためのプログラム構築を目指し、昨年度に引き続き小学校低学年の定型発達児と発達障碍児を対象に指先の器用さを検討するための調査を実施した。さらに、同児童を対象に視運動の訓練を半年間にわたり継続的に実施し、その効果を訓練開始前と訓練後に実施した視覚認知課題の結果から検討した。 1)小学校低学年児童の指先の器用さと動物飼育ならびに手指の運動経験との関連調査(2) 2019年度に引き続き、小学生の指の器用さと手先の運動経験や動物の飼育経験の関連について調べるため、4種のテストからなるバッテリの開発・実施に取り組んだ。2020年度は学年を1年下げ2年生を対象とした。2種類の質問紙調査として、「習い事や昔遊びの経験」と「動物飼育経験と期間」を問うもの、2種類の実技系テストとして、折り紙課題と既存の描線テストを実施した。 2)小学校低学年児童の視覚認知機能に視運動訓練が及ぼす効果に関する検討 小学2年生児童を対象に、北出(2018)が開発した視運動訓練(ビジョントレーニング)を半年間にわたり実施した。ビジョントレーニングは、主に眼の上下、左右、回転、跳躍などの運動を繰り返し行うものである。授業開始前の5分間を利用し、66bpmのテンポをもつBGMにあわせてトレーニングを実施した。このトレーニングを開始する前と開始から半年後に幾何学図形の模写や見本選択課題からなる視覚認知テストを行った。その結果、発達障碍(自閉スペクトラム症)の診断を受けている児童の一部に、模写成績の向上が認められた。 〔参考:北出勝也(2018)クラスで楽しくビジョントレーニング,図書文化社.〕
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、「『動物との接触行動』前・後における行動調整能力のアセスメント・システムの開発(基礎的研究)」として、大学生、定型発達児と発達障碍児を対象に「動物との接触行動」前・後において行動調整能力の心理学的・生理学的アセスメントを行う予定であった。しかし、新型コロナ感染予防の影響により、大学生の登学や研究協力校(小学校)への出入りが大幅に制限され、計画通りの研究を遂行することが困難であった。そこで、一昨年度の研究をベースに研究対象(年齢)の幅を広げ、なおかつ研究協力者である協力校内の小学校教諭(対象児童の担任)主導で実施することが出来る本研究の主要テーマに関連する課題を新たに設けて実施することにした。 1)小学校低学年児童の指先の器用さと動物飼育ならびに手指の運動経験との関連調査(2) 小学生を対象とした指の器用さと手先の運動経験などの関連調査は計画・実施までは順調に進み、データの回収は100%に達した。また、2019年度に実施した小学校3年生を対象とした調査データの分析は予定通り終了し、内容の一部を論文としてまとめることができた。 2)小学校低学年児童の視覚認知機能に視運動訓練が及ぼす効果に関する検討 小学2年生児童を対象に行ったビジョントレーニングの効果については、現在分析を進めているところであるが、全体的な印象としては、発達障碍児だけでなく対象とした児童の視覚認知機能の向上に一定の効果があるように見受けられる。 このほか、2019年度に実施した関連する研究内容は学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況にも記した通り、昨年度は、新型コロナ感染予防の影響により、当初の計画通りの研究を遂行することが困難であった。今年度も、同様の影響が残ると思われるため、当初の計画を変更し、研究対象の幅をさらに広げた研究を実施する。具体的には、初年度より実施してきた小学校低学年児童の指の器用さや手の運動経験に関する調査をさらに学年を下げて行う。また、当初は昨年度の実施を予定していた大学生を対象とした基礎的な指運動に関する生理心理学的実験について、大学生の登学状況にあわせながら今年度可能な範囲で実施する予定である。 1)小学校低学年児童の指先の器用さと動物飼育ならびに手指の運動経験との関連調査(3) 昨年度に引き続き、小学生の指の器用さと手先の運動経験や動物の飼育経験の関連について調べる。2021年度は学年をさらに1年下げ1年生を対象とし、これまでと同じ質問紙調査、実技系テストを各2種類実施予定。 1)動物との接触行動時にみられる指運動の分析:動物との自由接触場面でデータ・グローブとビデオにより手指の運動の時系列記録を行い、出現頻度が高い動作を見出し、その運動特徴を無生物を触るときのものと比較、検討する(当初は2020年度の予定であった課題)。 2)動物との接触前・後での行動調整能力のアセスメント法に関する検討:データ・グローブと、バルブ圧センサーと脳波記録によって行う。バルブ圧センサーは、対象者が手の内に握ったバルブから押し出される空気量と圧力の時間変化を詳細に記録可能であり、手で握るバルブ圧を段階的に漸増させた際の実際の圧量の計測をする(当初は2020年度の予定であった課題)。
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Causes of Carryover |
「進捗方策」にも記した通り、昨年度は新型コロナ感染予防の影響により、当初の計画通りの研究を遂行することが困難であった。今年度も、同様の影響が残ると思われるため、当初の計画を変更し、研究対象の幅をさらに広げた研究を実施する。具体的には、初年度より実施してきた小学校低学年児童の指の器用さや手の運動経験に関する調査をさらに学年を下げて行う。また、当初は昨年度の実施を予定していた大学生を対象とした基礎的な指運動に関する生理心理学的実験について、大学生の登学状況にあわせながら今年度可能な範囲で実施する予定である。以上の計画の一部変更に伴い、昨年度購入予定であった実験に要する消耗備品類を本年度購入する予定である。
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Research Products
(2 results)