2021 Fiscal Year Research-status Report
文化言語の多様な子どもの発達障害症状の実態把握と認知特性に基づく支援法の確立
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19K02944
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
北 洋輔 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 准教授 (90627978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀 佳美 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20436877)
鈴木 浩太 四天王寺大学, 教育学部, 講師 (20637673)
櫻井 千穂 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (40723250)
奥村 安寿子 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 日本学術振興会特別研究員(PD) (60749860)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 障害科学 / 発達障害 / 多言語環境 / 特別支援教育 / 心理アセスメント / 外国人児童生徒 / 日本語教育 / 認知神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、外国籍児童など文化的・言語的に多様な背景をもつ子ども(CLD児)を対象として、発達障害症状の実態把握とそうした症状を有する児への支援法の確立をゴールとする。 三年目の2021年度は、支援法に向けたアセスメントバッテリーの開発を引き続き行った。具体的には、2020年度に開発した近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)に加えて、脳波(EEG)による認知機能の評価、および臨床症状に関する心理評価尺度の開発に取り組んだ。その結果、注意や実行機能など、児の高次認知機能について脳機能として他覚的に捉えられる可能性が示された。また、心理評価尺度を開発したことで、ダブルリミテッドや第一言語の獲得に遅滞がみられるCLD児の臨床症状を簡便に評価できることが可能となった。特に、こうした臨床症状については、新型コロナウィルス感染症により児のメンタルヘルスへの影響が大きいことも明らかとなった。これらの知見は、査読付論文として学術誌での誌面発表の他、一般向け講演活動等として社会周知活動に取り組んでいる。 一方で、新型コロナウィルス感染症の影響から、国内外での対面実験に遅れが生じている部分も少なからず認められる。そのため、2022年度以降も、アセスメントバッテリー開発を継続する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症対策にかかる対応と準備が増加したことにより、予定していた対面実験を延期せざるを得なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
実施の遅れているアセスメントバッテリーの開発を継続する。具体的には、児と実験者が対面で行う認知実験を継続する。指標としては、2020年度から取り入れているNIRSとEEGの非侵襲的脳機能計測、および心理実験による行動指標評価を導入する予定である。特に非侵襲的脳機能計測は、感染症予防対策について国外の研究者とプロトコル策定を進めており、新型コロナウィルス感染症の流行に左右されない形で実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、対面実験の遅延が発生し、実験にかかる物品費・旅費および被験者や研究補助員等の人件費等が減少したために、次年度使用額が生じた。次年度使用額と令和4年度の研究経費では、当初計画していた旅費・人件費等として拠出を予定するとともに、対面実験実施に伴う感染症対策のための人件費(実験補助員の増分・被験者負担増加に伴う対応)や消耗品(飛沫飛散防止処理品等)として使用予定である。
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Research Products
(12 results)