2020 Fiscal Year Research-status Report
教室内発話ターンテーキングに着目した授業活性度の可視化
Project/Area Number |
19K02999
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
市川 治 滋賀大学, データサイエンス学部, 教授 (00821612)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 平和 滋賀大学, データサイエンス学部, 准教授 (70772812)
右田 正夫 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70335157)
磯西 和夫 滋賀大学, 教育学部, 教授 (50223061)
辻 延浩 滋賀大学, 教職大学院, 教授 (00378431)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 授業活性度 / ターンテーキング / マイクロフォンアレイ / 多チャンネル音声収録 / 音声イベント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は,教師と生徒の発話のターンテーキングに着目して,授業の活性度の客観的な指標を見出し,その測定の手法を確立することである。 2年目となる2020年度は,滋賀大学附属中学校・小学校の教室で,実際の授業の音声を収録することに注力した。具体的には,マイクロフォンアレイ装置を教室の2箇所に設置し,教師にはピンマイクを装着してもらい,音声の同時収録を行った。収録した授業は,附属中学校で21時限,附属小学校で2時限である。主に教育実習生が担当する授業を収録対象としているため,授業運営の技術の幅のある収録ができた。これは,目標とする「授業の活性度指標」のモデリングに役に立つと考える。 授業の収録を進めるにあたり,授業内イベントの可視化についても重要なニーズがあることを確認した。すなわち,一つに授業の中に,「教員による説明」「板書」「グループワーク」「机間巡視」「ビデオ視聴」「生徒発言」「拍手」「笑い」など様々な音イベントの区間があるので,それらを時間軸に沿って表示した「授業の見取りシート」を作成すれば,授業形態を俯瞰することができるようになる。この目的のために,音声収録中に,「授業評価シート」を3名の評価者により記録した。すなわち,その授業の活性度を主観的に評価するとともに。授業内に発声する上記イベントを「授業評価シート」に記録した。 収録した音声は,収録機器ごとの音声ファイルに分かれるので,収録後に時間の同期をとる編集処理を手作業で行い,分析用のデータとして整備した。また,授業内イベントの検知モデルを作成するために,全ての授業の音声を耳で確認し,上記の授業内イベントの音が発生している区間を抽出した。 授業内イベントの検知モデルについて,「板書」のカツカツという音の区間を教員のピンマイクを使用して推定することは新しく野心的な試みと考えている。いわゆる打音検査の技術を応用できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度,コロナ禍の影響で,授業の音声収録の実施が危ぶまれたが,附属中学校・小学校の感染対策のもと,無事に実施することができた。 データの後処理も完了し,分析のための準備が完了した。 研究の実施については,教室内の発声位置の検出についてHARKでの実践例を教育学部の修士学生の修士論文としてまとめられた。また,教室内の音イベントを検知モデルの研究も開始された。
|
Strategy for Future Research Activity |
3年目(2021年度)は,実際に収録された授業音声を使用した分析を進める。授業活性度指標の推定モデルと,授業内イベントの検知モデルの研究を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍の影響で,ほとんどの学会がオンライン参加となり,旅費の支出が減少した。 次年度は,年度後半に学会の現地参加が復活すると見込まれており,また研究成果の発表も予定されているので,旅費の支出に充当される。 また,引き続きデータの追加取得やデータの整理が行われる予定なので,追加のアルバイト代(人件費・謝金)としても支出される予定である。
|