2019 Fiscal Year Research-status Report
Research of astronomy learning at home by ICT assistance in junior high school
Project/Area Number |
19K03160
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
縣 秀彦 国立天文台, 天文情報センター, 准教授 (30321582)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 天文教育 / アクティブラーニング / 教材開発 / 天体望遠鏡 / 自宅学習 / ICT補助 / 中学校理科 / IAU100 |
Outline of Annual Research Achievements |
主体的・対話的で深い学びの視点に立った授業改善を目指し、理科第2分野・中学3年における「地球と宇宙」での教授法とカリキュラムの改善、および必要教具の整備を行う。学校教育のICT化によってタブレット等の生徒利用が可能になりつつある現状を踏まえ、「惑星と恒星」、「月や金星の運動と見え方」の学習において、学校での天体観測会に代わって、自宅に持ち帰って各自が観察体験を伴うアクティブラーニング的な教材・教具を開発している。初年度は、教具となる組立式望遠鏡キットの開発とその評価、専用三脚の開発、必要となるICT機器の調査等を行った。 2016年度から着手している「国立天文台望遠鏡キット(Ver.1)」の仕様を定め製造を開始した。2019年4月にサンプルを入手しブリュッセルにて行われた国際天文学連合(IAU)100周年記念式典にて展示し、使い方等デモンストレーションを行った。若干の仕様修正の後、6月にモンゴル、ドイツ、ポルトガル、12月にマレーシアにて使用説明会等を行った。この他、IAU100周年事業の一環として、総計として350個を海外の教員研修会等に提供し好評を得た。国内では、三鷹市連雀学園及びジブリ美術館の協力を得て、小学生49名を対象に望遠鏡の製作教室を開催するなど協力を得られた学校等で、開発した「国立天文台望遠鏡キット(Ver.1)」の教育活用の可能性を調査した。長野県松本市の島内小学校では6年生3クラス全員が家での観察を実施した。郡山市ふれあい科学館でもワークショップを行った。これらの評価データについては現在解析中である。 国内のカメラ三脚メーカーの協力を得て、小型望遠鏡の使用に合う新しい望遠鏡専用の簡易三脚を開発し製造を開始した。また、スマフォやタブレットでの撮影方法についてさまざまな試みを行い、低倍率で月を撮影することは児童・生徒でも可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
望遠鏡キット、三脚などの新規開発は順調に進んでいる。当初の予定と異なり、小学校での実践やその評価を行うことが出来た。一方、三鷹市内の中学校にて2020年3月4日に実証実験を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染予防のため中止となった。ここでは特に、都市部でも観察に影響が少なく観測の好機を迎えていた宵の明星・金星の満ち欠けの観察を行う予定であった。 スマートフォンやタブレットの新機種にて月や惑星等の撮影を試みた。開発した専用三脚と専用アダプターを用いることで低倍率では問題無く授業利用可能なことを確認出来たが、金星の満ち欠けや土星の環の確認で必要となる高倍率では、ブレ補正や光度補正が不十分で現在のところ実用的な段階に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の国内外での実践とその評価に基づき、教具・教材及び指導方法についてさらなる改善を行う。手順としては次の通りである。 (1)2019年度に松本市島内小学校6年生に対して実施した研究授業結果の評価測定を行い、開発教具と指導方法等についてフィードバック案を作成する。 (2)2020年度前半に天体望遠鏡組立キット、架台、カメラアダプター等をバージョンアップするとともに、未着手の専用教育支援ソフトの開発を開始する。 (3)2020年度後半から2021年年度にかけて複数回の教員研修会(免許更新研修及び国立天文台が独自に開催する教員研究会など)にて、指導方法や教具の使い方のセミナーまたはワークショップを実施し、参加教員に対しアンケート調査等を行う。さらに、必要に応じて初年度に出来なかった中学校での実証授業(含む家庭学習)を行う。 COVID-19の影響を考慮し、上記の研修会や実践授業を、Zoom,teams等のインターネットTV会議システムを利用して、遠隔授業で出来ないか検討する。本研究の趣旨である自宅にて児童・生徒各自がアクティブラーニング的な観察を行うことは、3密を避ける今後の新しい教育実践に適用する可能性があり、新規にこの点についても検討していきたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、2020年3月に予定していた三鷹市の中学校における研究実践授業が中止になったことと、同じく3月に筑波大学にて開催予定であった日本天文学会春季年会が中止になったため、予定していた旅費を使わなかった。 このため、予定していた実践授業と学会発表は2020年度に実施を予定している。
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