2019 Fiscal Year Research-status Report
地域産業に貢献する実践力を育成する継続可能な工学教育フレームワークの提案
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19K03179
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
鈴木 裕利 中部大学, 工学部, 教授 (20340200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 康一郎 中部大学, 工学部, 教授 (00262949)
板井 陽俊 中部大学, 工学部, 講師 (10551971)
舘 伸幸 名古屋大学, 情報学研究科, 研究員 (30710256)
石井 成郎 一宮研伸大学, 看護学部, 准教授 (80399237)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 工学教育 / 実践力 / 教育フレーム / 教材 / カリキュラム / 地域産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
技術者へのインタビューを通して,技術者の持つ(企業が求める)知識・スキルを明らかにする取り組みを行った.当初愛知県内を想定していたが,県内有力企業が事業展開上グローバルな人材を求めていることから,地域を限定せずインターネット上など社会で広く活躍している,ソフトウェア開発に関わる技術者または元技術者にインタビューを実施した.対象者は40代8名,50代9名,60代8名の25名であり,うち2名は女性であった. インタビュー結果はワードマイニングの手法を用いて,動詞名詞それぞれについて分析を行った.動詞に関しては,「~できる」が突出して多く,何かができることという具体的な能力について回答が得られたと考えられる.一方名詞では,「仕事」という一般的単語に次いで,「計画」という特異な単語の出現が目立った.これに関しては,「できる」と共起した名詞からも,同様の特徴が読み取れた.共起名詞の上位は「問題」「達成」「正しい」「解決」であった.回答者はそれぞれ担当技術分野が異なるが,それぞれの問題に対して「正しく」解決することが求められている.この「正しく」は,共起名詞の10位内に出現した,計画やマイルストーンという単語と結びついている. 動詞およびその共起名詞で特徴づけられた「問題解決」は,技術者にとってはそれぞれの専門工程における行為に他ならない.すなわち,ものを作るという技術的行為の遂行能力こそが,実際の現場にいる技術者が求めているスキルであることを,インタビュー結果は示唆していると考えられる.さらには,単に作れるだけではなく,計画(開発プロセス)に基づいて作業をすることが求められていた. 以上のことから我々は,社会で求められている知識・スキルは,工学的にものづくりができることといえるのではないかという仮説に至った.この仮説に基づき,工学的に物を作ることを訓練する教材を開発し,試行することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度目標は,技術者10名に対して技術者に必要な知識・スキルに関するインタビューを実施し,その特徴を明文化することにあった.それに対し,25名の技術者または元技術者に対しインタビューを実施.ワードマイニングによる分析の結果,明示的な要件を抽出することができた.これは,次年度予定の教材設計に対して,必要十分な情報といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューで得られた知見をもとに,教育工学的手法を用いて教材設計を実施する.また,その教材を基本とするカリキュラムを開発する.その後試行授業を実施し,教材及びカリキュラムのブラッシュアップを行って完成度を上げる.同時に,開発したカリキュラムの教育効果測定の方法を考案し,試行する.教育効果測定には,別途制御群との比較も予定する.一定の効果の確認を以て,研究メンバ以外の学校や教員への水平展開を実施する.
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