2020 Fiscal Year Research-status Report
The gaze synchronizations of listeners in group discussion to contribute the cooperative knowledge construction
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19K03233
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
木下 まゆみ 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (40404909)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 集団討論 / 聞き手 / ネットワーク分析 / 視線配布 / 同期性 / 活性化 / 発言の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:昨年度は、集団討論における参加者の視線配布の同期性を予想していたが、これを裏付ける結果は得られなかった。今年度は、より短いインターバルにより視線配布のコード化を行い、改めて同期性を測定した。 研究方法:感染症予防の観点から対面授業が実施困難になり、今年度新たな集団討論データを収集することが困難であったため、前年度試験的に収集された集団討論録画を分析対象とした。参加者は大学生6名、討論はLTD(Learning Through Discussion, 方式とし、時間は約1時間であった。遠隔作業により、1/16秒をインターバルとし視線配布のコード化を行った。各発言の内容についても、議論の進展に影響を及ぼしたもの(キー発言)を同定した。コーディングソフトには、ELAN (Ver 5.9, Max Planck Institute for Psycholinguistics) およびCAPTIV-L2100 (Ver 2.3.42, Creact) を用いた。ネットワーク分析では、発言の抽出を意味単位とし、発話元から発話先への発言をリンクとみなし次数中心性を求め、議論の質の指標とした。 研究結果と考察:参加者毎に、発話者への視線配布の有無をコード化し、各インターバルでの視線配布の人数を算出した。参加者全員の視線配布があった直後のキー発言の有無に差があるか検定したが、有意な結果は得られなかった。一方で、各ステップのキー発言の頻度と字数中心性の平均を求め相関を検討した。その結果、傾向ではあるが、キー発言が多い方が次数中心性が低いことが示唆された。つまり、討論の中で議論を刺激する発言が生じた際には、参加者全体が活性化され、発言数が等しく増える可能性がある。これは集団討論の実践と合致する結果であり、発言の円滑な交替が議論を決定づける要因として推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
感染症拡大予防のため、研究目的である集団討論の実施が不可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を考えれば、集団討論の実施が必須であるが、感染拡大の終息が見込めない間は、入手済みの録画データを活用した研究を進める。今年度の研究では視線配布のコード化を行ったが、これは2値の時系列データとしての分析も可能である。時系列データ分析により、参加者間の視線配布の相関を得、集団討論における同期性を検討する。さらに、これと次数中心性等の討論の評価指標との関連も検討する。また、アルバイトによるコード化にはかなりの時間を要したため、次年度はこの改善も試みる。これは、表情計測ソフト(OpenFace等)を用い、視線の向きを2次元上で表して説明変数とし、コーダーによる視線配布の有無を目的変数としたロジスティック回帰分析または機械学習を行うことで可能であると考えられる。 感染が終息し次第、同期性が集団討論の進展を活性化する方向で影響することが上記研究で明らかになれば、その促進のための具体的方法を探索する。19年度の研究において、ボールによる発言権の明示化に対して、参加者による議論の進めやすさ、発言のしやすさが報告された。これをふまえ、明示化の効果検証をさらに進めていくこととしたい。
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