2022 Fiscal Year Research-status Report
The gaze synchronizations of listeners in group discussion to contribute the cooperative knowledge construction
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19K03233
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
木下 まゆみ 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (40404909)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 集団討論 / 活性化 / 同期性 / 身体動作 / コミュニケーション / 発言順序 / 理解深化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究計画では、表情計測ソフトにより視線配布の自動的なコーディングを試み、その有効性を確認したのち、身体動作の同期性と集団討論での発言についての関連性を検討する予定であった。しかし、今年度も感染症拡大予防のために従来の集団討論は実施できなかったため、録画データの入手は来年度に延期し、今年度は同期性および類似概念に関する先行研究の概観を行った。 同期性に関しては、無自覚的に生成されるものと、共有された指向性を持つものの2つが指摘されている (Sebans et al., 2006)。前者は、身体動作や脳活動等で生じる非言語的現象が主に検討され、後者は、身体的課題に留まらず、認知的課題を含め広く検討されている。2者間の非言語的同期性は、ひとつには、目標志向の協働課題における同期性を反映したものと考えられ、両者に共通する神経学的認知的プロセスの現れ、または数式モデルや分析モデルを適用できる力学的現象、いいかえれば、協働課題の随伴的な結果との位置づけがある。もう一つは、非言語的同期性が目標指向性課題での同期を促進するものとの考えである(Nozawa, 2019)。この場合、非言語的同期性は、時間軸上の先行要因として目標指向性課題の成績に影響することとなる。 本研究課題に即すると、各メンバー間における視線配布などの身体動作の同期性と、発言のタイミング、頻度、長さ、複雑性、さらには討論における新たな知識の生成、といった目標指向的行動が、同時的まはた時間遅れの関連を示すかどうかを検討することとなる。得られる知見は、集団討論の実施に関する手続き的知識を増やすと同時に、コミュニケーションにおける同期性の理解一助になるものと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
感染症拡大予防のためにマスク着用が維持され、表情計測ソフトによる動画での顔および視線の認識が困難であり、自動的なコーディングが実施できなかった。新たなデータを収集することも難しく、文献調査を中心とした研究とならざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マスク着用が個人の判断となり、マスクなしの対面での集団討論が期待できる。また、同期性については、個人の身体動作をソフトによりコーディングし、得られた時系列データについて、周波数分析等を行い、個人間の同期性の有無を検証する。個人間同期に時間差がある場合、それは注意伝搬現象としての解釈も可能あり、同期性が注意を通じて間接的に発言に影響する可能性も推測される。さらに、身体動作の同期性と、発言に関する各種指標、討論の複雑さや深さとの関連を検討するため、決定木、SVM等の機械学習による検討も行いたい。
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Causes of Carryover |
感染症拡大予防のため、研究対象である集団討論が実施・記録できなかったため
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