2020 Fiscal Year Research-status Report
Developmental assessment in school-age children in relation to cognition ad self-awareness
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19K03246
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹内 謙彰 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40216867)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自己意識 / 20答法 / 嗜好性 / 学童期 / アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
学童期の発達的特徴を捉えるため認知的側面と自己意識の諸側面の両方向からのアセスメント法の開発を行うことが本研究の主要な目的であった。しかし現在までのところ、自己意識の諸側面からのアプローチに注力する形で研究を進めている。第2年度である2020年度においては認知的側面にかかわるデータ収集も行うことを構想していたが、新型コロナ感染拡大に伴って、現場でのデータ収集が極めて困難になった。そのため、2020年度については、(1)初年度行った自己意識にかかわるデータ分析を継続するとともに、(2)学童期を対象として行われた20答法ないしそれに類似した方法を用いて行われた実証研究のレビューを行うこととした。 まず(1)については、小学1年生から6年生までを対象に2019年度に実施した20答法のデータについて、「好き」あるいは「嫌い」の嗜好性表現に着目し、学年ごとの出現頻度をみたところ、「好き」表現は3年生でほぼ全員、4,5年生で全員が一度は用いることが明らかとなった。「嫌い」表現については3年生が42.1%で最も頻度が高かった。また、「好き」、「嫌い」の対象のカテゴリー分類を行ったうえで各学年の出現頻度を算出し、年齢に伴う変化を示すとともに、そうした変化の持つ意味を考察した。その成果の一部は、2020年3月の日本発達心理学会第32回大会のポスターセッションにおいて報告された。 次に(2)については、主として日本において20答法を学齢児に適用した研究を取り上げるとともに、米国における20答法開発にかかわる論文ならびに初期に学齢児に適用した論文を取り上げ研究レビューを行った。その成果は、立命館大学産業社会論集に論文として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、学童児の発達的特徴を捉えるためのアセスメント法の開発を行うために、当初、認知的側面と自己意識の側面の二つの側面からアプローチすることをめざしたが、認知的側面の実証研究については、調査を行うための学校の協力を得ることが難しく、自己意識の側面の調査研究を先行させた経緯がある。第2年度である2020年度には、認知的側面の調査研究を位置づけることを予定していたが、国内における新型コロナウイルス感染拡大の状況により、新たな調査の協力はきわめて得られにくい状況になった。それゆえ、当初の予定を変更して、当分の間、自己意識にかかわる諸側面を明らかにすること、また、学齢児を対象として20答法を適用した先行研究をレビューすることに注力することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも触れたように、2019~2020年度に実施した20答法を用いた調査結果の分析を2021年度も継続し、学童期の自己意識の発達的変化を析出していく。その際、地道なカテゴリー分類による分析を中心としつつ、記述の文脈に沿った質的な分析も探索的に行っていく。なお、認知的側面からのアプローチについては、感染症の状況を踏まえつつ、調査ができないのであれば、文献研究による理論的なアプローチに切り替えることも視野に入れておきたい。
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Causes of Carryover |
2019年度において、認知的側面の実証研究については調査を行うための学校の協力を得ることが難しく、自己意識の側面の調査研究を先行させた。さらに、国内における新型コロナウイルス感染拡大の状況により、新たな調査の協力は非常に得られにくい状況となった。初年度において認知的側面に係る調査の費用として当初想定していた人件費・謝金の多くの部分と物品費の一部が使用できず、結果的に2020年度にかなりの金額が繰り越された。2020年度は、小学校現場における新たな調査を実施できる状況ではなかったため、繰り越し分を含めた当該年度使用分については、前年度に行った自己意識の側面に関する調査結果の分析のためのツールの購入と学会参加費に使用することとして、繰り越し分を含めて2020年度分予算をかなりの程度使用することができた。しかし、コロナ禍により学会もオンラインで実施されることとなって旅費が不要となったため、旅費相当分程度の残額が生じた。これも、他の費目に振り替えることは可能であったが、あえてそうしたことは行わず、最終年度での研究活動に充当することとした。最終年度においては、繰り越し分を新たな分析をふまえた学会発表での使用に充当したい。ただし、オンラインでの学会発表が継続するようであれば、使用が見込めない金額については、早くに判断して他の費用、たとえば、研究報告の冊子印刷などに充当することとしたい。
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