2023 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期における感情の言語的理解の発達と保育・教育への応用
Project/Area Number |
19K03250
|
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
飯島 典子 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (40581351)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 和浩 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (40560587)
小泉 嘉子 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (80447119)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 感情理解 / 実行機能 / 絵本 / 確信度 / 行動統制の困難さ / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、感情の言語的理解を注意の制御、感情語の獲得、確信度理解の3つの次元で捉え、その関連から発達メカニズムを解明し、典型発達児と「気になる」子どもの発達段階に応じた保育・教育および発達支援のあり方に応用可能な知見を得ることを目的として行った。調査開始間もなくコロナウイルス感染症の感染拡大により、保育施設や調査施設への部外者の立ち入りは一切認められず、幼児を対象とした直接的な調査を行うことができなかった。2022年度終盤から2023年度に調査をすることとなった。その結果、基本的情動の感情語の獲得や確信度は行動統制の困難さといった行動特性との関連はみられなかった。その背景には、行動統制の困難さ傾向をもつ子どもは言葉による主張が高い傾向があり言葉そのものは発達していることが関係していると思われた。一方、注意の制御に関わる実行機能のうち優勢反応の制御の低さと、行動統制の困難さ傾向および保育者による感情理解の評価の低さとの間に関連が見られ、注目すべき対象への注意を維持する力が関与していることが示唆された。なお、本研究計画当初は視線追従による表情の選択注視についての検討が計画されていた。open faceを用いた分析を試みたが、幼児の場合、画面に集中している間の姿勢移動が視線データにも影響し十分なデータを得ることが出来なかったため、本研究の分析から除外することになった。また、保育への応用として、登場人物の気持ちを表現する絵本を、登場人物の感情に着目できるように援助しながら繰り返し読み聞かせを行った。しかし、その効果は元々感情理解が高いと評価される幼児においては効果的だったが、行動統制の困難さ傾向など援助を必要とする幼児には効果が見られなかったことから、注視の制御そのものを育成する必要があると考えられた。
|
Research Products
(1 results)