2020 Fiscal Year Research-status Report
Authentic cognitive rehabilitation: utilization of ICT tools
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19K03290
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
松本 優花里 (橋本優花里) 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (70346469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 丙鉄 近畿大学, 工学部, 教授 (30196993)
野寺 綾 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (50709748)
日下部 典子 福山大学, 人間文化学部, 教授 (60461290)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 動機づけ / 間食管理 / 障害認識の向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、当事者の抑制困難と障害認識に関する課題が提起され、当事者の抱える具体的な問題に対応するべく間食管理アプリと高次脳機能障害チェックリストイラスト版アプリの作成を行った。 1)間食管理アプリ「カロミー」:糖尿病を有する患者の間食を管理することが重要な課題となっている。しかし、当事者には抑制困難という社会的行動障害がある場合もあり、退院後に間食を取り過ぎる可能性が懸念される。間食をコントロールするアプリはこれまですでにいくつか開発されているが、当事者は記憶障害も有することもあるため、複雑なアプリ操作等は困難であることから、なるべくシンプルな内容かつ簡潔な操作で管理が実現できるものが望ましい。そこで、目標カロリーを自由に設定でき、食べたお菓子を一定のカテゴリーからおおよその量を選ぶことで自動的にカロリーが加算されるような仕組みにし、その日の総カロリーをひと目で確認できるほか、1週間の変化を棒グラフで視覚的に示すことができるような画面構成のアプリを開発した。目標カロリーは、横線でグラフ上に赤色で示され、目標値に近づいたり超えたりすると警告メッセージが出る。デザインや色については、研究協力者の当事者からのアドバイスを受けた。 2)高次脳機能障害チェックリストイラスト版アプリ「高次脳チェッカー」:高次脳機能障害のリハビリテーションや復職においては、自分の障害を認識し、その気づきの階層を高めていくことが重要になる。本研究では、福井県高次脳機能障害支援センターが開発した「高次脳機能障害チェックリスト」に着目し、チェックリストの内容を文字だけでなくイラストで具体的に示すことで、当事者がより内容をイメージしやすくなるよう工夫した。また、スマートフォンで簡単に操作できるような設定で開発したほか、自己評価と他者評価を同時にグラフ上で視覚的に比較できる機能も取り入れた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、当事者の視点や立場を踏まえた有意味なリハビリテーションを展開することを重視し、①当事者にとって有意味で、楽しく、継続可能な課題を開発する、②当事者の認知をとらえ、環境との相互作用を含めた支援の枠組みを提供するという2つの研究を進めている。2020年度は、2019年度に引き続き、①についての3つのアプリ開発の研究を進めつつ、②として高次脳機能障害における認知行動療法の活用について執筆したほか、新たに当事者の問題を理解するための現象学的理解の視点をまとめた。②については、今夏出版予定である。以上のことから、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究には、①当事者にとって有意味で、楽しく、継続可能な課題を開発する、②当事者の認知をとらえ、環境との相互作用を含めた支援の枠組みを提供するという2つの研究の柱がある。2020年度も引き続き①について数本のアプリ開発進めていく。また、昨年度から研究協力者のメンバーに当事者を迎えた。当事者の視点を踏まえ、よりオーセンティックな内容を作り上げる。②についてはレビュー論文の執筆も視野に入れ、研究分担者と協力しながら、まとめの方向に向けて進めていく。研究の成果の一部は、2021年度の日本心理学会の企画シンポジウムにて発表予定であるほか、成果を公表しているHP(http://reha.heteml.jp/)を全面リニューアルし、発信に努める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、当初予定していた学会出張等ができなかったためである。今年度も引き続き旅費等が予定通り使用できない可能性が考えられるため、その他に振り替え、業者との連携によるアプリ開発費用等に注力することを検討している。
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