2021 Fiscal Year Research-status Report
Authentic cognitive rehabilitation: utilization of ICT tools
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19K03290
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
松本 優花里 (橋本優花里) 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (70346469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 丙鉄 近畿大学, 工学部, 教授 (30196993)
野寺 綾 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (50709748)
日下部 典子 福山大学, 人間文化学部, 教授 (60461290)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 認知リハビリテーション / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究には、研究1:当事者にとって有意味で、楽しく、継続可能な課題を開発する、研究2:当事者の認知をとらえ、環境との相互作用を含めた支援の枠組みを提供するという2つの柱がある。2021年度はそれぞれについて以下の取組みを行ったほか、研究成果を公表するためのサイト「どこでも認知リハ」をリニューアルした(https://reha.heteml.net/)。 研究1では、2つの空間認知課題を作成した。一つはメンタルローテション課題であり、難度を「簡単」と「難しい」の2つのレベルを設けた。簡単なレベルでは着色された展開図と立体図の異同判断を、難しいレベルでは各面にアルファベットが付された展開図と立体図の異同判断を行わせる。もう一つの課題は発達心理学の知見を利用した3つの山問題である。3つの山問題とは、様々な角度から見ると景色が異なるような三つの山の配置について、それぞれの位置から見える景色を判断させるものである。 研究2では、認知行動療法の考え方に基づき、出来事とそれに対する認知、そして感情のつながりを学習するための3コマ漫画教材を作成した。教材では、出来事と感情が提示され、その感情が生じると考えられる認知について、選択するものである。 以上の課題の作成にあたっては当事者もミーティングに参加し、当事者の視点から、画面の構成や操作のしやすさに関するアドバイスを行った。また、これまでの研究成果を踏まえ、「手を動かしながら学ぶ神経心理学」と題する書籍を編集し、その中で高次脳機能障害における認知行動療法の適用と、当事者の問題を理解するための現象学的理解の視点について分担執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで作成した課題の中でフラッシュを用いたものについては、すでに動作をしないものがいくつかある。そこで、業者に依頼し、今のweb環境で動くよう作り変える作業を進めていたが、課題の見直しに想定以上の時間を要し、年度内に作り替えの作業を行うことができなかった。そこで、補助事業期間延長を申請し承認されたことから、現在作業を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、当事者の視点や立場を踏まえた有意味な認知リハをオーセンティック認知リハとして位置付け、その実現を目指してきた。オーセンティック認知リハをさらに伸展・深化させるためには、1)心理的アプローチにおいて当事者を中心に考えること、2)心理教育的アプローチにおいて当事者による情報を発信すること、3)認知的アプローチにおいて当事者目線の仕様を重視することの3つが欠かせないことがわかった。そこで今後の研究では1)については現象学的立場を踏まえた検討を、2)についてはICT機器と動画配信サービスの活用による当事者からの情報発信の検討と実践を、3)については当事者参加型の課題開発の遂行とその開発環境の拡大を試みる。なお、2023年度から新たに科研費を取得し、これらの課題に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
これまで作成した課題の中でフラッシュを用いたものについては、すでに動作をしないものがいくつかある。そこで、業者に依頼し、今のweb環境で動くよう作り変える作業を進めていたが、課題の見直しに想定以上の時間を要し、年度内に作り替えの作業を行うことができなかった。そこで、補助事業期間延長を申請し承認されたことから、現在作業を進めているところである。
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