2023 Fiscal Year Annual Research Report
元国費留学生のライフストーリー研究:コンフリクト解決と生涯キャリア発達の視点から
Project/Area Number |
19K03295
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 孝代 明治学院大学, 国際平和研究所, 名誉教授 (30242225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 武彦 和光大学, 現代人間学部, 名誉教授 (60176344)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナラティブ / 越境 / 対話 / ライフストーリー / 精神障害 / 自閉症 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までは、アジア諸国から元国費留学生のライフストーリーをコンフリクト解決と生涯キャリア発達の視点からインタビューにより個別調査を行ってきた。東南アジアの元国費留学生(女性)のライフストーリー研究からは、日本社会のジェンダーの意識変容が標榜されながらも、現実には女性がキャリアを形成していくには女性ならではのコンフリクトに遭遇すること、そして一方では女性自身がその共感性の高さにより、「自分自身を生き抜く」ことを自制しがちな心理的側面もあるのではないかということに気付かされた。それらは、Shore等(2011)の「所属」と「独自性への価値づけ」というフレームワークで考えた場合、ホスト文化における留学生のみならず、日本における女性のインクルージョンの理想と現実のギャップを示唆している。「語り」の中で特に特徴的だったのは、女性という立場ならではの留学後の結婚・育児や職業選択・キャリア分断などにまつわる生涯発達的な語りであった。そして、彼女たちが様々なコンフリクトを乗り越えながらキャリア形成の意欲を持ち続けられたのは、日本人の支援・こころの交流の賜物だったと述べたことも印象的だった。また元国費留学生の留学体験記が出版されているので、その著書の内容をテキストマイニング分析により留学経験の具体的体験とその後の人生への影響についての検討を行った。祖国の政変による家族の困難を乗り越えてたくましく日本に生きる姿とその後の2国間の交流活動のつながりが明らかになった。 今年度は、以上の成果をふまえ、方法的には対話によるナラティブの生成、内容的には越境というテーマを踏まえ、ある精神障害者の自伝をもとに本人の成長を援助する活動を通して、『重度自閉症児と共に生きる精神障害者のライフストーリー:自伝に基づく協働のナラティブ』を刊行した。
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