2023 Fiscal Year Annual Research Report
日本版KABC-Ⅱにおける臨床的視点からの新クラスター分析システムの構築
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19K03306
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
青山 眞二 北海道教育大学, 教育学部, 特任教授 (40322862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 環 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (70198761)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新クラスター分析 / KABC-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本版KABC-Ⅱにおける既存の解釈の枠組みとは別に、臨床的視点からの解釈の視点を構築すると共に、簡便に行える解釈システムを作り上げることを目的に行われたものである。具体的には、日本版KABC-Ⅱを構成する20の下位検査が関与する様々な能力について整理し、複数の下位検査に共通する能力を一つのクラスターとして成立するかどうかを分析した結果、16のクラスターが解釈の視点として利用可能であることが明らかとなった。 解釈可能なクラスターは、「空間能力」「視覚的細部への注意」「モデルの再生(視覚)」「モデルの再生(聴覚)」「聴覚的短期記憶」「視覚的短期記憶」「視覚運動の協応」「運動機能が関与しない視覚的体制化」「教科学習の基礎」「読み・語彙」「本質と非本質の区別」「数的能力」「部分と全体の関係(統合)」「推理能力」「聴覚的言語理解」「言語表現」の16の能力である。これらの能力を解釈するにあたっては、クラスター内の下位検査のばらつきが小さいこと(10%未満の差)を原則とし、下位検査間のばらつきが大きい場合は、クラスターとしての解釈は行わないものとした。また個人内差としてのクラスターにおける強い能力または弱い能力として判定する場合は、そのクラスターの標準得点と尺度平均との差が「まれな差(5%,10%,15%)」である場合のみ判定することとした。 こうした新しい視点からの新クラスター分析について、全国のKABC-Ⅱユーザーを対象(70名)に、試行してもらい、試行後のアンケート調査を行った結果、子ども理解が深まった、子どもの能力を具体的な臨床像と結びつけやすくなった等の高評価が大部分であった。こうした結果から、本研究は十分な成果が得られ、研究目標を達成したと考える。
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