2019 Fiscal Year Research-status Report
ペアレント・トレーニング基本プラットホームの普及と効果検証に関する研究
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19K03316
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
式部 陽子 帝塚山大学, 心理学部, 講師 (20737431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩坂 英巳 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (70244712)
中田 洋二郎 立正大学, 心理学部, 名誉教授 (20106214)
井上 雅彦 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20252819)
井澗 知美 大正大学, 心理社会学部, 准教授 (70631026)
免田 賢 佛教大学, 教育学部, 教授 (60368727)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペアレント・トレーニング / 発達障害 / 効果指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペアレント・トレーニング(以下、PT)は、国の発達障害者支援体制整備の重要施策の一つに位置付けられており、わが国でも発達障害のある子どもの親を対象としたPTが各地で行われているものの、プログラム内容や効果測定の指標は様々であり、効果検証は十分に行われていない。申請者らはPT研究グループを立ち上げ、PTの基本部分を「基本プラットホーム」とする短縮版プログラムを作成した。本研究では、共通で使用可能なアウトカム尺度を精査し、PTの効果検証および支援者養成プログラムの効果検証を行い、PT普及を進めるための効果的なプログラム及び地域実装の効果と課題を検討することを目的とした。 初年度の研究として、ペアレント・トレーニングの効果指標に関する先行研究をもとに分析検討を行った。また、申請者らの研究グループが調査に協力した自治体、児童発達支援事業所、医療機関を対象としたPTの実態調査ではPT実施前後の効果測定が十分に行われていないことが明らかとなった。評価尺度の実施・分析のための時間確保の問題、心理職等の専門家スタッフの不足や対象者へのフィードバックの難しさといった、地域でアウトカム尺度の使用が進んでいない要因についての検討も必要である。 PTの普及と効果検証のためには、エビデンスに基づいたアウトカム尺度について検討するとともに、PTの対象者や実施の目的をふまえて地域の支援者が実施・分析・評価しやすく、対象者にフィードバックしやすい内容であることも重要であり、今後の検討課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、本研究で予定していたアウトカム尺度に関する支援者への実態調査について、JDDnetが受託し申請者らの研究グループが研究協力を行った「2019年度障害者総合福祉推進事業」におけるペアレント・トレーニングの実態調査の実施およびペアレント・トレーニングのガイドブック作成が先行した。本研究で予定していた実態調査よりも、先の実態調査の規模が大きく、その調査結果をふまえてアウトカム尺度の精査を行う必要性が生じたため、進捗がやや遅れている。 しかしながら、先行した大規模な実態調査の結果から、本研究における今後の調査対象がより明確になり、実態調査と並行して作成されたガイドブックでは「基本プラットホーム」の核となる要素が明示されたため、基本プラットホームのチェックリスト作成など次年度以降の研究について、より円滑に進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、効果測定を実施している機関もしくは支援者に協力を募り、より詳細なアウトカム尺度とその効果に関する調査を行う。当初の計画通り、申請者らの研究グループに所属する支援者の協力を得て「PT実施+児童発達支援利用群」、「PT未実施+児童発達支援利用群」を設定し、PTプログラムの効果および基本プラットホームの妥当性について検討を行う予定である(研究2)。 また、2020年秋に実施予定の支援者養成プログラムにおいて、事前事後で参加者のPTインストラクタースキルや自己効力感について評価する(研究3)。さらに養成研修修了者にアンケートを行い、養成研修で得た知識や技術が実際にどのように活かされたかを調査し、実装レベルでの効果を検証する。ただし、新型コロナウイルスの影響により対象機関のPT実施や支援者養成研修の開催が困難となることも考えられるため、実施時期や対象機関の選定などについては引き続き検討し、オンライン調査も活用する。
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Causes of Carryover |
初年度に児童青年精神医学会(沖縄)参加のため旅費を計上していたが、研究代表者・分担者ともに本務等都合により参加が叶わなかったため、次年度以降の学会参加、研究会議および養成研修開催時の旅費としたい。また、初年度に計画していた調査に係る入力作業のための人件費・謝金は翌年度に使用予定である。なお、新型コロナウイルスによる移動自粛等により旅費の使用に影響が生じた場合は、研究会議のためのオンライン環境整備に係る使用も検討する。
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