2023 Fiscal Year Annual Research Report
育児期女性における虐待傾向の関連要因に関するエスノグラフィー的研究
Project/Area Number |
19K03318
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
春日 由美 山口大学, 教育学部, 教授 (80525585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 徳子 山口大学, 教育学部, 准教授 (00555708)
田中 理絵 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (80335778)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 虐待傾向 / 育児期女性 / テキストマイニング / マルトリートメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は育児期女性の虐待傾向について、どのような要因が重なると虐待傾向(マルトリートメント傾向)に向かいやすいかについてインタビュー調査を行い、個々の女性を取り巻く環境を含めて個別に検討することである。対象は乳幼児を育児中の女性である。2023年度は12名分のデータを用いてテキストマイニングソフトText Mining Studio(NTTデータ数理システム)を用いて定量的に分析したものを附属臨床心理センター紀要(山口大学大学院教育学研究科)に投稿した。この論文では、現在マルトリートメント傾向にある女性とそうでない女性それぞれのインタビュー内容の特徴について検討した。マルトリートメント傾向にある女性の特徴として、他者から自分への視線、自分から他者への視線を意識することが考えられた。また自分が怒ることや自分が小さい頃に怒られたこと、子どもが泣くこと、怒る自分への嫌悪などが印象に残っていることが考えられ、マルトリートメント傾向のある女性は、人間関係に意識が向きやすく、日常的に不快な感情を抱えている可能性があった。また、子どもを自分の思うとおりにコントロールしたい気持ちがあるがそれが上手くいかずに怒るなど、子育てが上手くいっていない感覚などを感じている可能性が考えられた。加えてマルトリートメント傾向のある女性たちはいずれも2人の子どもがいたが、そのうち長子に対して可愛いと思えない葛藤を抱える可能性が考えられた。一方、マルトリートメント傾向にない女性は、自分の睡眠や休息など自分の健康を重視していることが考えられた。またマルトリートメント傾向にない女性は、その他の側面でも自分について印象に残りやすいことや、子どもとの時間や子育てをポジティブに捉えていることが考えられ、子育ても含めて自分を中心に思考しやすい可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)