2021 Fiscal Year Research-status Report
心理療法過程におけるアタッチメント方略の変化に関するDMM-AAIによる検証
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19K03335
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
三上 謙一 北海道教育大学, 保健管理センター, 准教授 (90410399)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アタッチメント / 親子関係 / 心理療法 / アセスメント / AAI / DMM |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、実証的な心理学研究の成果をいかに現場に還元するのかが問われるようになってきている。特に日本において深刻な社会問題となっている虐待の現場に心理学の知見を生かすことは喫緊の仮題であると言える。早期の親子関係の経験が後の人格発達や対人関係にいかに影響するのかを検証してきたアタッチメント研究もその活用が期待される心理学的研究の1つである。そのような流れの中で2021年12月に北大路書房より出版された「児童虐待における司法面接と子ども支援:ともに歩むネットワーク構築をめざして」は様々な領域の実証心理学者や、児童相談所職員や弁護士など虐待に関わる専門家が執筆した書籍である。その第10章に「アタッチメント研究の新展開:Crittendenの「アタッチメントと適応の動的-成熟モデル」」を執筆した。本章では従来のアタッチメント研究と、新しいアタッチメント理論である「アタッチメントと適応の動的-成熟モデル」(DMM)について解説した。特にDMMに基づいたアセスメントであるDMM方式のアダルト・アタッチメント・インタビュー(DMM-AAI)が、司法場面において虐待する親のアセスメントとその後の子どものケアにどのように活用できるのかを論じた。このようにDMM-AAIをアセスメントとして活用することは個人心理療法から虐待のような家族全体のアセスメントまで幅広く適用可能であること、特に病理的で複雑な組織化をしているアタッチメント方略の理解に役立つ可能性があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定ではできるだけ多くの学生にAAIを実施してデータを取る予定だった。しかし、コロナ禍の影響のために思うようにそのような機会を得られなかった。またアセスメントの訓練に必要な講習会の受講や学会発表の機会も得られなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もできるだけ適切なクライエントを見つけてAAIを実施する機会を探したい。サンプル数は少なくなると思われるが、その分過程の詳細な分析を実施できればと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で出張できなかったり、予定していたデータ収集ができなかったため。Zoom講習会に参加したり、データの逐語記録作成に使用する計画である。
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