2022 Fiscal Year Research-status Report
心理療法過程におけるアタッチメント方略の変化に関するDMM-AAIによる検証
Project/Area Number |
19K03335
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
三上 謙一 北海道教育大学, 保健管理センター, 准教授 (90410399)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アタッチメント / 心理療法 / AAI / 青年期 / アタッチメント方略 / 効果測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
アタッチメントは精神病理の形成にも心理療法における改善にもどちらにも関連している可能性が高いことがこれまでの研究から強く示唆されている。このため、本研究は「クライエントのより良い変化を促すには、クライエントのアタッチメントについて理解し、クライエントのアタッチメントの変化を促すような介入を目指すことが重要である」という仮説を立てた。本研究の独自性はクライエントのアタッチメントの変化をDMM-AAIを用いて検証する点にある。これによって抑うつや不安など症状の得点の推移のみを見る研究とは異なって、アタッチメントというパーソナリティの中枢にあるものがどのように心理療法によって変化するのかを追跡することが可能になると思われる。父親の喪失を背景とした抑うつ状態と希死念慮を訴えて心理療法を希望したクライエントに対して、心理療法の開始時に成人移行期アタッチメントインタビュー(TAAI)と心理療法終結後にアダルト・アタッチメント・インタビュー(B形式)を施行した。前者はアダルト・アタッチメント・インタビュー(AAI)を青年期用に質問項目を修正した半構造化面接である。後者は心理療法の効果測定用に開発されたAAIであり、本来のAAIの質問項目をやはり修正してある。前者を心理療法のアセスメントとして、後者を心理療法の効果測定用に使用することを目的に実施した。TAAIとAAI(B形式)の結果を比較することによって心理療法においてアタッチメント方略がどのように変化するのかを知ることができると期待される。さらに心理療法のプロセスノートを活用することによって、そのような変化がに貢献した要因を探ることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナでキャンパスが封鎖されたことをきっかけに、研究計画を立てていた時点に想定していたよりも、クライエントの数が大幅に減ってしまった。そのため中々研究計画に見合うクライエントに出会い、研究参加の同意を得る機会を得られなかった。ようやく1ケースだけ許可を得てTAAIとAAI(B形式)のデータを得ることができて、現在はその筑後記録と、海外の研究協力者用にインタビューデータの英文翻訳を進めている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はTAAIとAAI(B形式)の分析を海外の研究者に依頼する予定である。その上でその結果を心理療法のプロセスノートと比較して、アタッチメント方略の変化に貢献した要因について考察する予定である。またAAIの分析の訓練も現在継続中である。
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Causes of Carryover |
コロナのために予定していた海外での講習会参加や、心理療法データ収集ができなかったため。
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Research Products
(1 results)