2023 Fiscal Year Annual Research Report
保育者のワーク・エンゲイジメントを支援するポジティブ認知行動療法プログラムの開発
Project/Area Number |
19K03337
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
荒木 友希子 金沢大学, 人文学系, 教授 (30334741)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ワーク・エンゲイジメント / 保育者 / 省察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,保育者がいきいきと長く健やかに働き続けることに対して貢献できる知見の蓄積をめざし,これまでほとんど検討がおこなわれていない保育者のワーク・エンゲイジメント(work engagement, 以下WEと略)に関連する要因について検証することを目的とした。最終年度の研究として,保育者の省察の観点から、仕事の要求度―資源モデルに基づいた保育者のWEに関連する諸要因の検証をおこなった。保育者のWEに影響を与える「個人の資源」として個人で自身の保育を振り返る「個人の省察」を,「仕事の資源」としてインフォーマルな場で他の職員と主体的に保育について語り合う「他者との省察」を、また、WEの向上によってもたらされるアウトカムとして「保育者実践力」と「保育者効力感」をそれぞれ設定した。調査協力者として,北陸地方のA市保育士会に所属する保育者345名(年齢:平均42.95歳, SD11.57, 範囲20-68)を対象に,GoogleFormを用いたオンライン調査を実施した。共分散構造分析をおこなった結果,個人の資源の「子ども分析」からWE (β=.48),仕事の資源からWE (β=.32),WEから保育者実践力(β=.77), WEから保育者効力感(β=.99)へのパスがそれぞれ有意であった。保育者個人の特性として子どもの普段の行動から子どもの発達を分析する傾向が強く、組織の特徴として保育実践について主体的に他者と語り合う風土があると、保育者のWEは高くなり、保育者自身の実践力や効力感の向上につながることが示唆された。
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