2021 Fiscal Year Research-status Report
慢性痛に対するマインドフルネストレーニングの有効性検証
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19K03362
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Research Institution | Kyushu Lutheran College |
Principal Investigator |
有村 達之 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 教授 (80264000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 雅文 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (60264305)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マインドフルネス / 認知行動療法 / 慢性痛 / 介入研究 / ランダム化比較試験 / マインドフルネストレーニング / 第三世代認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はわが国の慢性痛患者に対するマインドフルネストレーニングの介入効果についてランダム化比較試験によるエビデンスを得るのが目的である。麻酔科ペインクリニックの通常診療にマインドフルネストレーニングを上乗せして実施することが、通常診療と比較して、痛みによる生活障害等を改善するかどうかを検証する予定である。 今年度は昨年度に引き続きコロナウイルス感染症の流行により、研究の遂行を中止していた。しかしながら、徐々に研究実施機関における通常診療は徐々に正常化しつつあり、研究再開へ向けての準備をおこなった。 当初計画では4名程度の集団療法による介入を計画していたが、研究実施機関でのマンパワーの検討の結果、集団療法より個人療法による介入がマネジメントしやすいことが想定され、個人療法による介入に変更することとした。すでに集団療法向けの介入マニュアルを個人療法形式で日常臨床で少数例を対象に使用していたため、その介入効果を検討することをおこなった。2例(症例AおよびB)の予備的な結果ではあるが、8回のマインドフルネストレーニングの前後で痛みの感覚要素、感情要素の改善、痛みによる生活障害の改善等が認められた。 症例Aでは痛み強度(NRS)が8点から1点に大幅に改善し、痛みの感覚要素が15点から2点、痛みの感情要素が4点から0点に大幅に改善していた。痛みによる生活障害もBPI生活障害尺度が6.7から0.1点へ、PDASが19点から6点に改善していた。生活の質(SF-36)も非常に改善していた。症例Bでは痛み強度(NRS)が9点から10点と若干悪化していたが、痛みの感覚要素が22点から12点、痛みの感情要素が7点から3点に改善していた。痛みによる生活障害もBPI生活障害尺度が7.3から4.6点へ、PDASが13点から4点に改善していた。また、抑うつ(HADS-D)が15点から3点に改善していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
介入形式を集団療法から個人療法へと変更し、集団療法と同様の効果が個人療法でも得られるらしいことが確認されたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、臨床研究実施が困難になり、研究進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していたランダム化比較試験の実施へ向けて、研究倫理審査の受審、研究実施体制の構築を継続する予定である。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響の検討結果によっては、ランダム化比較試験でない研究デザインへほ変更等も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、研究参加者募集が遅れているため、無作為割り付けに必要なシステム構築費用の支出が次年度に延期されたこと、対面での学会参加が困難になったために旅費等が次年度使用に延期されたこと等のためである。 次年度以降、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に軽減していると考えられるため、臨床研究でのランダム化割り付けに必要なシステム設計、学会参加の旅費等に使用する予定である。
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