2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K03454
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
瀧 真語 東海大学, 理学部, 准教授 (30609714)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | K3曲面 / 自己同型 / 有理曲面 / 商特異点 |
Outline of Annual Research Achievements |
至る所消えない正則2形式を持ち,不正則数が零であるようなコンパクト複素曲面をK3曲面という.K3曲面はかならずしも代数的とは限らないが,本研究で扱うような自己同型の存在を仮定すれば,K3曲面は自然に代数的となる.当該年度に実施した研究は大きくわけて2つである.一つ目は(1)「K3曲面上の有限自己同型が最大位数であるとき,その自己同型による商曲面の考察」であり,二つ目は(2)「puler ではない位数6の非シンプレクティック自己同型の考察」である. (1)で扱うべき自己同型の位数が66であることは既に知られていたが,商曲面の局所的な様子は不明であった.66の約数のうち2, 3, 6, 11, 22, 33を位数にもつ自己同型情報を使い,特異点の個数とタイプを決定した.ここではLefschetzの公式を使う方法と直接計算する方法の2通りの方法を示した.なお商曲面そのものは指数11の対数的Enriques 曲面である.この研究はMATHEMATICAL REPORTSへの掲載が決定している. 有限位数nの自己同型が至る所消えない正則2形式へ1の原始n乗根で作用する場合にその自己同型をpulerな非シンプレクティック自己同型という.(2)ではpuler ではない位数6の非シンプレクティック自己同型を調べたが,すなわち至る所消えない正則2形式へ-1倍で作用する自己同型と1の原始3乗根で作用する場合である.それぞれの固定点集合のタイプを決定し,具体例を構成した.また固定点集合だけ見ていてはこの手の自己同型の分類が難しい,という示唆も与えた.これは論文形式にし,現在投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
covid-19の影響で研究交流・打ち合わせを行いずらかった.1年前の目論見ではK3曲面上の「点」に注目して研究を進める予定であったが,その影響でズレが起きた.位数6の研究はこのズレによる成果であるが,当初の予定と比べるとやや遅れ気味である.
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Strategy for Future Research Activity |
位数6の研究そのものは当初の計画に悪くないヒントを与えてくれたので,それを考慮して本来の研究計画を推進する.covid-19の影響は残るだろうが,オンライン会議システム等で対処するつもりである. また大学院生を雇用するなどして,情報収集の受け口を広げていく予定である.
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Causes of Carryover |
covid-19 の影響で旅費の消費ができなかったから. 次年度もこの影響は出るであろうが,情報収集力を高めるために大学院生等を雇用する予定である.
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Research Products
(1 results)