2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K03454
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
瀧 真語 東海大学, 理学部, 准教授 (30609714)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | K3曲面 / 自己同型 / 非純 / 非シンプレクティック |
Outline of Annual Research Achievements |
至る所消えない正則2形式を持ち,不正則数が零であるようなコンパクト複素曲面をK3曲面という.K3曲面上の自己同型は正則2形式への作用が自明か,そうでないかによってシンプレクティックまたは非シンプレクティックと呼ばれる.主に有限位数の自己同型を考察しているが,自己同型そのものの位数とK3曲面上の正則2形式へ作用させた時の位数に差がある場合,純(pure)ではない(非シンプレクティック)自己同型という.当該年度に実施した研究は「非純な非シンプレクティック自己同型の考察」である. 前年度に位数6の場合は考察していたのだが,これに多少不備があり,まずはその修正を行った.特に新しい具体例を追加することができた.応用がありそうな枠組みで例を見つけられたので,今後の研究にも活かせるように思う.この研究結果に関しては論文としてまとめ,Proceedings of the Japan Academy, Ser. A, Mathematical Sciences から出版された.(新屋敷仁来氏と共同研究) この他にも,もう少し大きな位数の非純な非シンプレクティック自己同型にも考察を進めたが,固定点集合のタイプを決定するのにそれなりに大きな計算を求められるので工夫を凝らしているところである.特に位数に約数が多い場合は正則2形式への作用のさせ方の候補が多く,煩雑になりやすい.また自己同型とその固定点集合の対応も必ずしも良いわけではなく,「自己同型の分類」という立場からは新しい視点・指標の必要を感じさせられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非純な非シンプレクティック自己同型の考察は当初の計画を達成するための一つの通過地点だった.思った以上に込み入っているので,もう少し時間がかかりそうである. また研究成果の発表という視点でも,covid-19の影響でその機会が減っている.
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Strategy for Future Research Activity |
自己同型の位数を一つ固定して研究を進めているのだが,この方法では時間がかかりすぎる.また研究結果が枝分かれしてしまい,全体像を把握しにくくなるように思われる.もちろん「ある位数に限った固有の現象」はあると思うが,できるだけ統一的に研究を進めていきたい.
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Causes of Carryover |
covid-19の影響で対面形式で行われる研究集会への出席や研究打ち合わせの機会が減り,出張にかかる旅費が残ったため.次年度はこの現象が多少改善されるようだが,研究集会や研究打ち合わせもオンライン形式はまだ残ると思われる.オンライン形式のイベント過多のため,コンピューターの具合がすこぶる良くないので,その環境を改善したい.
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Research Products
(1 results)