2019 Fiscal Year Research-status Report
無限次元タイヒミュラー空間上の複素力学系的理論の構築
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19K03513
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤川 英華 東京工業大学, 理学院, 准教授 (80433788)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 複素解析学 / リーマン面 / 擬等角写像 / タイヒミュラー空間 / モジュライ空間 / 力学系理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,無限次元タイヒミュラー空間上の複素力学系的理論を構築するという課題に向けて, 擬等角写像類群それ自身やその様々な重要な部分群の作用に対する離散性条件を解明し,無限次元タイヒミュラー空間の商空間を考えることにより,様々な相におけるモジュライ空間の構成可能性を分析する.特に,これまでの研究で複素構造を持つ新しいタイヒミュラー空間をいくつか提示しているが,近年の研究では,特に,フラクタル構造のタイヒミュラー空間を定式化し,その基本的性質を解明してきた.タイヒミュラー空間上のタイヒミュラーモジュラー群の作用による不連続領域に対して,商空間をとれば,そこにはタイヒミュラー空間の幾何から誘導されるよい幾何構造が入るが,一般には不連続領域がタイヒミュラー空間の中で広い位置を占めるとは限らない.そのため,擬等角写像類群が安定的に作用する点の集合である安定領域を考える,安定性は軌道が閉集合であることで定義する.このとき安定領域はタイヒミュラー空間内で通有的な位置を占め,安定領域の商空間の完備化により安定的モジュライ空間が定義できる. 今年度の研究では,クライン群や正則関数の反復合成系などのいくつかの重要な複素力学系に付随するフラクタル集合に対して,フラクタル構造のタイヒミュラー空間上の幾何学的大域座標を考察することにより,表現空間での安定領域の考察を行った.さらに,この考察により得られた成果を一般の無限次元擬等角タイヒミュラー理論にフィードバックする作業を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としている研究の主要な部分について,その方向性が明らかになった.また問題点と今後の課題も具体的に明らかになっている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果を講演により成果を公表することで,新しい視点を議論したい.また研究連絡やセミナーでの講演を行い,関連する研究者と意見交換をする.
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Causes of Carryover |
都合により,当初予定していた出張を行わなかったため次年度使用額が生じた.次年度は,国内研究集会およびセミナーに出席して,関連する研究者との研究連絡を行う.
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