2020 Fiscal Year Research-status Report
Tropical mathematics and combinatorics on Young tableaux
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19K03605
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩尾 慎介 東海大学, 理学部, 講師 (70634989)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Young盤 / トロピカル数学 / 可積分系 / 非可換シューア関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、「可積分系方程式の技法を用いてYoung盤を研究する」と一言で言い表される。可積分系方程式とは、``初期値問題の解が具体的に記述できる''、``保存量(エネルギー・運動量のようなもの)を十分な個数持つ''、などの特徴を持つ微分方程式の総称であり、解空間の構造を調べる・方程式の離散化を考察するなどすることで、興味深い数理構造を見つけることができる特徴がある。一方Young盤とは、表現論・組み合わせ論・対称多項式の理論などと関わりをもつ図形のことで、非常に応用が広い。 この方面の既知の結果として「戸田方程式(可積分系の一つ)の理論を利用して整化の一意性定理(組み合わせ論の定理)の証明を与える」という結果がある。この結果を深化・一般化することを本研究の目標とする。 今年度の研究で対象としたのは、旗多様体のK理論に対応する対称多項式``グロタンディーク多項式''である。これを組み合わせ論の立場から見ると、Young盤の一般化である``集合値Young盤''を考えることにあたる。論文「Grothendieck polynomials and the Boson-Fermion correspondence」において、数理物理の研究手段である「自由フェルミオン」を用いて、グロタンディーク多項式の明示公式を与えることに成功した。自由フェルミオンとは可積分系の厳密解を記述するときにも用いられる非可換な作用素であり、これをもって集合値Young盤の理論を可積分系理論に一歩引き寄せたとみることができよう。本結果は当初の目的の達成のための重要な一歩であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
K理論的Young盤を記述するのに必要と考えられる``グロタンディーク多項式''の研究において以下の成果が得られたため。 ・グロタンディーク多項式の自由フェルミオン表示を与えた(論文「Grothendieck polynomials and the Boson-Fermion correspondence」)。 ・より一般的な対称多項式(マルチ・シューア関数)についても同様の結果を証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果は主に対称多項式の代数的性質に注目したものであったが、本研究の主目的を達成するには組み合わせ論的性質の考察も欠かせない。これについては近年、物理数理を研究する研究者たちにより考察された「可解格子模型」の理論が有効であると考えている。私の結果と、彼らの結果を組み合わせることで、新たな成果が得られると期待している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大による以下の国際/国内研究集会の中止により、科研費の使用計画が大きく狂ったことによる: (1)「the 14th edition of the International Conference on Symmetries and Integrability of Difference Equations (SIDE 14)」2020年6月14日~20日予定(Olsztyn、ポーランド) (2)「RIMS研究集会(公開型)・可積分系研究集会(仮称・正式名称公表前に中止)」2020年8月~9月実施予定(京都大学) 翌年度は徐々に国内研究集会が開催されることが期待されるため、その費用に使用する予定である(国外研究集会は残念ながら翌年度も難しいと判断している)。
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Research Products
(2 results)