2021 Fiscal Year Research-status Report
Tropical mathematics and combinatorics on Young tableaux
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19K03605
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩尾 慎介 東海大学, 理学部, 講師 (70634989)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ボゾン・フェルミオン対応 / 旗多様体のK理論 / シンプレクティック旗多様体 / Kピーターソン同型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「物理数理で用いられる技法を純粋数学の問題に適用する」ことを基本方針として以下の問題に取り組んだ:(i)量子物理学で用いられる「ボゾン・フェルミオン対応」の技法を用いて、旗多様体のK理論を説明するのに有用な対称多項式「グロタンディーク多項式」を実現した。(ii)前項と同様の技法を用いて、シンプレクティック旗多様体のK理論を説明する「K理論的Q関数」を実現した。(iii)古典可積分系の一つである「相対論的戸田方程式」の解法を用いて、旗多様体の「量子K理論」とアフィングラスマン多様体の「Kホモロジー」を結び付ける「K理論的ピーターソン同型」を構成した。 (i)について:ボゾン・フェルミオン対応とは、量子力学において粒子の状態を説明するために用いられる手法である。今やこの技法は本来の目的を離れて、微分方程式の解の構成や、古典可積分系の解法に利用されている。本研究ではこの技法を「代数的組み合わせ論」に応用し、重要な研究対象である「旗多様体のK理論」、およびその構造を記述する「グロタンディーク多項式」を調べた。その結果、これらの物をボゾン・フェルミオン対応を用いて表すことに成功した。応用として、グロタンディーク多項式をわかりやすい行列式として表す「ヤコビ・トゥルーディー型公式」の平易な証明を与えた。 (ii)について:(i)の手法を、別の重要な研究対象である「シンプレクティック旗多様体」に応用することができた。その結果、K理論的Q関数と呼ばれる対称多項式を導出することができた。また、双対K理論的Q関数を計算する新しい計算アルゴリズムを見つけた。 (iii):古典可積分系とは、古くはソリトン現象を表す方程式として研究された微分方程式である。本研究ではこれを応用し旗多様体のk理論の量子化を説明する「Kピーターソン同型」を構成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、物理数理の技法を用いて組み合わせ論的な問題に挑戦するという方針のもと、今年度までに以下の論文が成果として得られている:(i)Jeu de taquin, uniqueness of rectification and ultradiscrete KP, Journal of Integrable Systems 4(1), (ii) Grothendieck polynomials and the boson-fermion correspondence, Algebraic Combinatorics 3(5), (iii) Neutral-fermionic presentation of the K-theoretic Q-function, Journal of Algebraic Combinatorics, (iv) Free-fermions and skew stable Grothendieck polynomials, Journal of Algebraic Combinatorics. また、現在投稿中の論文が1編、現在進行中の共同研究が2件あり、当初の計画通り順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では得られた研究成果を発展させ、次のテーマに取り組む予定である。(I)確率論の技法を取り入れる。(II)新しい理論の組み合わせ理論の構築。 (I)について:量子力学の研究テーマの一つに確率論的手法がある。これは本研究の手法と親和性の高いものとみられ、この視点を新たに導入することで興味深い研究が発生すると考えられる。 (II)について:現在、ヤング図形の概念を一般化させた様々な発展的な組み合わせ理論が盛んに研究されている。本研究の技法はその研究群の系譜に属すると考えられる。一般化ヤング図形の一般論を参考に、新しい組み合わせ理論を構築したいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による国際研究集会(ポーランド・インド)の開催中止および、国内研究集会(京都・北海道)の中止に伴い、当初旅費として使用予定の予算がそのまま未使用となった。その結果、次年度使用額が発生した。次年度は国内外の研究集会の再活性化に伴い出張が可能になると期待されるため、科研費の旅費使用を見込んでいる。
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Research Products
(3 results)