2019 Fiscal Year Research-status Report
単調正規空間の積におけるC*-,C-,P-埋め込みの研究
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19K03606
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
平田 康史 神奈川大学, 工学部, 特任准教授 (70375400)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 単調正規空間 / 一般順序空間 / 順序数の部分空間 / 非可算積 / 辞書式順序積 / 長方形的積空間 / C*-,C-,P-埋め込み / extent |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、単調正規空間の積空間の位相的性質を明らかにすること、特に部分集合のC*-、C-、P-埋め込みの様態の解明を目指すものである。 可算無限離散空間Nは最もシンプルな単調正規空間の1つである。2014年にPol夫妻は、Nの連続体濃度個のコピーの積空間について、そこへのNのC*-埋め込みで、かつ、C-埋め込みではないものの存在を示した。同じ積空間について、研究代表者と神奈川大の矢島氏の共同研究により、非可算な離散空間がC*-(閉集合としてC-)埋め込みされるためには、ωとω1の両者のベキ濃度が一致すること(これは、集合論の通常の公理系ZFCでは決定できない)が必要十分であることが示され、その論文が掲載されることとなった。同論文では,非可算なcofinalityをもつ基数κについて、Nのκ個のコピーの積空間には濃度κの離散空間がC*-埋め込みできないことも示した。 順序数の部分空間もまた単調正規空間の一種であり、その積空間の研究も矢島氏と共同で行った。本年度の研究で着目したのは、空間Xにどのくらいの大きさの閉離散部分集合があるかを表すe(X)である。到達不可能基数が存在しない場合は、順序数の部分空間A,Bの積が長方形的であることと、A,Bの部分集合の積A'×B'でA×BにおいてC*-埋め込み(あるいは閉)であるものについて、等式e(A'×B')=e(A')×e(B')が成り立つこと、が同値であることを証明した。また、到達不可能基数が存在する場合はこの同値性が崩れることも明らかにした。 一般順序空間もまた単調正規空間で、順序数の部分空間よりは一般性が高い。その辞書式順序積についての研究を大分大学の家本氏と共同で進め、パラコンパクトになるための条件を明らかにした論文が掲載されることとなった。また、辞書式順序積のweightの計算とTychonoff積との比較などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単調正規空間の一種として、可算離散空間、順序数の部分空間、一般順序空間の積空間についての研究が進展し、C*-,C-埋め込みとの関連について新たに分かったこともあったので、一定の成果は出ているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
一般順序空間の辞書式順序積についてはこれまでにあまり多く論文が出ていないようなので、基礎的な部分も含めてこの分野の研究を、家本氏と共同で更に進めていきたい。
単調正規空間の積空間についての本年度の成果は、特殊な空間についてのものが多かった。次年度以降は、特殊な空間も引き続き研究対象とするが、もう少し一般性の高い空間についても研究視野に含めることを模索したい。
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Causes of Carryover |
3月に共同研究者との研究打ち合わせのための大分大学への出張を予定していたが、コロナウィルスの流行により延期した。その分の旅費は次年度の出張で使用する予定である。
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