2023 Fiscal Year Annual Research Report
時間反転対称性を破るカイラル超伝導体の輸送現象および端状態の研究
Project/Area Number |
19K03724
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
今井 剛樹 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (10396666)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カイラル超伝導体 / トポロジカル絶縁体・超伝導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
トポロジカル物質は次世代デバイス材料の候補として活発な研究が展開されている。特に時間反転対称性の破れたカイラル超伝導体はトポロジカル超伝導体の有力候補であり,精力的に探索が行われている。そのため,理論的側面からも探索,支援を行うことは極めて重要な課題であり,本研究では複数の候補物質を念頭に微視的解析を遂行している。 SrPtSb型ハニカム型構造をもつ超伝導体BaPtSbは,超伝導状態で内部磁場の出現が報告されるなど時間反転対称性の破れた超伝導状態の出現が示唆されている。その一方で,同一の結晶群をもつ超伝導体BaPtAsとの混晶系による研究からは両者の対波動関数が異なる可能性が推測されるなど,両者の微視的性質について詳細な理解が求められている。 2023年度はBaPtSbおよびBaPtAsを対象に常伝導相の低エネルギー領域の両者の相違点を議論し,成果を学術論文として報告した。さらにBaPtSbの超伝導相に対する対波動関数について解析を進め,低エネルギー領域の電子構造を反映してカイラル超伝導が有力候補であることを示し,並行してSrPtSb型構造とは異なる結晶群に属するYPtAs型ハニカム型構造超伝導体BaPtAsに対しても解析を進め,強い2次元的電子構造がカイラル超伝導状態を引き起こす可能性に言及した。得られた成果の一部を各種学会,プロシーディングスなどで報告した。 研究期間全体を通し,時間反転対称性を破るカイラル型超伝導体の候補である複数の物質に対して,超伝導秩序変数ならびにトポロジカルな性質について理論的立場からの解析を遂行した。特に超伝導秩序変数ならびに実験結果との対応関係を明示することにより,対波動関数の同定などに関する物性評価への指針を提示した。上記の研究に対して得られた成果の一部は日本物理学会,学術論文,国際会議およびその会議プロシーディングスなどですでに公表済みである。
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Research Products
(7 results)