2022 Fiscal Year Annual Research Report
中性子とX線回折法による水素結合型有機誘電物質の圧力誘起強誘電性の解明
Project/Area Number |
19K03728
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発 |
Principal Investigator |
中尾 朗子 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 副主任研究員 (90392050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗像 孝司 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 副主任技師 (00363408)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中性子回折 / 単結晶構造解析 / 有機強誘電体 / プロトン移動 / 圧力誘起 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,酸と塩基から成る水素結合型強誘電体を研究対象として,実空間に直接的に影響を及ぶす外場として温度および圧力に伴う構造変化を観測し誘電応答との関連性を解明することを目的とした中性子およびX線回折実験を実施した。本研究物質の誘電応答にはプロトンが鍵を握るため,水素もしくはプロトンを含めた構造決定を行う必要があり,高効率なデータ収集のためTOF-Laue法と2次元検出器を組み合わせた回折計を用い,また,バックグラウンドの一様性が高いピストンシリンダー型セルを用いることで反射強度の精度の向上を図った。一般的に,有機分子結晶を対象とした圧力下の単結晶構造解析では,反射数の多さや軽元素が寄与するシグナルを検出する必要があるため精密な構造解析は困難とされている。このような中我々は中性子回折法を用いた高圧・低温試料環境下 (P < 2 GPa, 4 < T < 300 K)での単結晶回折実験の手法を構築した。圧力誘起強誘電体[2,5-Difluoro-3,6-dihydroxy-1,4-benzoquinone][H2fa]では,1.27 GPa,35 Kでの回折データで圧力セルおよび結晶の吸収補正を行い構造解析した結果,水素原子位置の構造情報の抽出に至った。得られた構造パラメータによる原子間距離から,高圧・低温相では分子が極性を持つことが示唆された。多くの信頼性の高い反射データを使用することで水素位置や分子配列の構造が明らかとなり,誘電応答が実空間と強く結びついている誘電体にとって重要な知見となった。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Relief of spin frustration through magnetic anisotropy in the quasi-one-dimensional S=1/2 antiferromagnet Na2CuSO4Cl22022
Author(s)
M. Fujihala, Y. Sakuma, S. Mitsuda, A. Nakao, K. Munakata, R. A. Mole, S. Yano, D. H. Yu, K. Takehana, Y. Imanaka, M. Akaki, S. Okubo, H. Ohta
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 105
Pages: 144410
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Ishigaki, Magnetic ordering and chiral structure phase transitions of Nd3T4Sn13 (T = Rh and Ir)2022
Author(s)
Ami Shimoda, Kazuaki Iwasa, Keitaro Kuwahara, Hajime Sagayama, Hironori Nakao, Motoyuki Ishikado, Takashi Ohhara, Akiko Nakao, Akinori Hoshikawa, and Toru Ishigaki
Organizer
29th International Conference on Low Temperature Physics (LT29)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Nd3T4Sn13(T=Rh, Ir)におけるカイラル対称結晶構造相転移と反強磁気秩序2022
Author(s)
下田愛海, 岩佐和晃, 桑原慶太郎, 星川晃範, 石垣徹, 中尾裕則, 佐賀山基, 大原高志, 中尾朗子, 石角元志
Organizer
日本物理学会2022年秋季大会
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[Presentation] 立方晶Nd3Rh4Sn13の磁気励起に見られる擬1次元量子スピン反強磁性2022
Author(s)
下田愛海, 岩佐和晃, 桑原慶太郎, 石角元志, 河村聖子, 村井直樹, 星川晃範, 石垣徹, 中尾朗子, 大原高志, 佐賀山基, 中尾裕則
Organizer
日本物理学会2023年春季大会
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[Presentation] SmAu3Al7が示す重い電子状態と共存した部分無秩序相における磁気構造2022
Author(s)
東中隆二, 北川紘章, 金子耕士, 伊藤孝, 大原高志, 田端千紘, 鬼柳亮嗣, 萩原雅人, 中尾朗子, 神戸振作, 松田達磨, 青木勇二
Organizer
日本物理学会2023年春季大会
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[Presentation] 単結晶中性子回折によるSmAu3Al7が示す部分無秩序相の研究2022
Author(s)
北川紘章, 東中隆二, 金子耕士, 伊藤孝, 大原高志, 田端千紘, 鬼柳亮嗣, 萩原雅人, 中尾朗子, 神戸振作, 松田達磨, 青木勇二
Organizer
日本物理学会2023年春季大会
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[Presentation] 1144型鉄系超伝導体Ca1-xLaxKFe4As4における超伝導と競合秩序相2022
Author(s)
石田茂之, 飯田一樹, 宗像孝司, 中尾朗子, 土屋佳則, 藤久裕司, 後藤義人, 中川駿吾, 柏木隆成, 中尾裕則, 伊豫彰, 荻野拓, 川島健司, 永崎洋
Organizer
日本物理学会2023年春季大会