2020 Fiscal Year Research-status Report
Symmetry Classification of Universality on Pattern Formation of Collective Cell Motion
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19K03770
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松下 勝義 大阪大学, 理学研究科, 特任助教 (60422440)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞集団 / 集団運動 / 非平衡統計物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞性粘菌などの真核生物の発生現象に見られる集団運動でのパターン形成を理解するため, そのパターンと細胞の物性の対称性との関係を調べる研究を行った. この研究では我々の開発した細胞上の分子密度分布の対称性を反映するCellular Potts模型を用いてその集団運動のシミュレーションを行った. そしてその結果を基に細胞粘菌の実験研究グループと相談を行いながら実際に起きうるパターン形成との対応関係も探った. 本年度の研究において, 細胞の集団運動でのパターン形成に対して, 細胞の対称性が均一系の集団運動の分類を行った結果, 概ねの分類で秩序運動, ジャミング状態の三種類の状態が現れた. しかし多くの場合でパターン形成は一様秩序であり, 対称性との相関が薄いという結論を得た. これは実際の実験で現れるパターンはこのような均一系では説明できない可能性を示している. そこで実験グループと話し合いいくつかの可能性を検証した. 特に細胞性粘菌では複雑な形態形成には細胞分化がかかわっている. それは均一系では再現されない. これをヒントに以下の条件の場合へモデルを拡張した. 1. 有限系を考え細胞組織と非細胞組織の混在系, 2.細胞が二種類あり, それらが組織を形成する場合である. 1の場合は残念ながら同様に均一な秩序形成が現れ, 新たなパターン形成は観察されなかった. 2の場合はそれぞれの細胞接着の強さを変えることで界面状態が変化し, 様々なパターン形成が起きることが分かった. また, その研究の副産物として細胞のマランゴニ効果を利用した集団運動を見出し, それを論文とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した対称性に対する分類の多くは行えたが, それは期待したパターン形成に多くはつながらなかった. そこで今回はそれらの対称性の異なる細胞の混合系を調べたが期待したようなパターン形成につながる観測結果を得た. 当初との期待とは大きく異なるが, これは新たな研究方向性が見いだされたという点で大きく評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今回発見した細胞組織の対称性の異なる組織界面でのパターン形成に研究をシフトしてその分類を行う. それにより細胞性粘菌などでみられる集団運動中のパターン形成につなげる.
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Causes of Carryover |
論文出版のための費用が出版までの時間が伸びており, その分を次年度に引き継いだ.
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Research Products
(5 results)