2019 Fiscal Year Research-status Report
Frontier Exploration of Internal Transport Barrier Formation for Fusion Plasma by Electromagnetic Field Control
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19K03792
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 貴司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (40260046)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核融合エネルギー / 高温プラズマ計測 / トムソン散乱計測 / 内部輸送障壁形成 / マルチパストムソン散乱計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁場閉じ込め核融合炉に必要な高性能プラズマを生成するためには異常輸送の原因となるプラズマ乱流を抑制しプラズマの熱輸送を改善することが必要である。そのためにプラズマ中に内部輸送障壁を形成し、閉じ込め改善を行うことが研究されてきた。 本研究は磁場構造とは独立に電場を直接生成し内部輸送障壁を形成することが可能なヘリカル型装置において、磁場構造を能動的に制御することにより磁場構造と電場形成、それぞれが内部輸送形成にあたえる影響を明らかにする。ヘリカルプラズマに対して電子サイクロトロン波加熱を用いて電場を生成し、内部輸送障壁を形成するヘリカルプラズマに対して磁場配位を制御することにより電場および磁場それぞれが内部輸送障壁形成に果たす役割を調べ、内部輸送障壁形成の物理機構を明らかにする。 特に有理面の形成位置が重要であるのでプラズマ分布の精密な計測を実施し、有理面やそれ による磁気島の存在が輸送特性に、どのような影響を与えるか調べたい。そのために本研究ではプラズマの温度、密度分布を高精度計測し閉じ込め改善領域を高精度で計測できかつ、プラズマ電子の非等方的な速度分布も測定可能なダブルポケルスセル型のマルチパストムソン散乱計測装置(DPMP-TH)を新たに開発を行った。 本年度は開発の第一段階として偏光光学系によるマルチパストムソン散乱計測法のシングルポケルスセル型のマルチパストムソン散乱計測装置を試作しHeliotron J装置に取り付けてデータの取得を行った。期待したとおり高温プラズマからの散乱光を取得することに成功した。しかし、3パルス目以降の散乱光を取得することはまだできていない。また、DPMP-THの基本設計、特にケプラー型光学によるイメージリレーシステムの設計検討行った。2系統のイメージリレーを採用することで良好なDPMP-THを実現可能なことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nd:YAGトムソン散乱計測装置により高精度の分布計測を実現するためには測定精度を向上させなければならない。マルチパストムソン散乱計測装置は、プラズマ中に入射されたレーザー光をミラーを用いて複数回往復させ散乱光量を増加させる手法である。DPMP-TH で用いる偏光光学系によるマルチパストムソン散乱計測法は、従来の方法と比較してマルチパス光路が同軸であるため測定精度が高い。
初年度はマルチパストムソン散乱計測法のシングルポケルスセル型のマルチパストムソン散乱計測装置を試作しHeliotron J装置に取り付けてデータの取得する計画であった。新たにイメージリレーシステムを導入するためにガウシアンビームモデルを用いて光学設計を行った。その結果、焦点距離2554mmの凸面レンズを2個用いることによって良好なビームパルス伝送が行えることが明らかになった。イメージリレーシステムを構築し1台目のポケルスセルを既存のトムソン散乱計測装置に導入した。
次にHeliotron J装置内の真空容器に窒素ガスを充填しラマン散乱法により複数パルスの散乱光が得られる事を確認した。さらに実際にHeliotron J装置において高温プラズマを生成し計測を行った。ことのき、既存のスキャンミラーが破損してしまうというトラブルが発生した。カタログデータ上では、問題が発生しないはずであったが、マルチパルス計測という特殊な環境では耐久性が十分ではなかったと考えられる。そこでレーザービームの光路の設計を変更し新たに耐久性の高いミラーを導入した。その結果、期待したとおり高温プラズマからの散乱光を取得することに成功した。しかし3パルス目以降の散乱光を取得することはまだできていない。原因を調査したところ、より厳密な光軸調整を行うことが必要であることが明らかになったので次年度以降実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はDPMP-THの設計、構築を行う計画である。DPMP-THの基本設計、特にケプラー型光学によるイメージリレーシステムの設計検討は今年度から行っている。ガスシアンビームによるシムレーションによって検討を行い従来の1系統のイメージリレーシステムに加えて新たに2系統目のイメージリレーを採用することで良好なDPMP-THを実現可能なことが明らかになった。ただし、複数のパルスを分離するための十分な遅延時間をえるための最適な光学系の設計が、いまだできていないので、今年度も続いて検討を行う予定である。
イメージリレーの設計を完了させた後に架台の設計を行い2台目のポケルスセルの設置を行う計画である。またシングルポケルスセル型のシステムにおいて3パルス目以降の散乱光を取得することはまだできていないが、ラマン散乱法をもちいて、厳密な光軸調整を行い引き続き散乱光の取得をめざす。この作業は2台目のポケルスセルの設置の設置と並行して行うことが可能である。
並行して、内部輸送障壁形成への電場の影響に対する物理機構を解明する実験を行う。中性ビーム入射加熱装置に電子サイクロトロン波加熱を重畳して電子内部輸送法壁の形成しHeliotron J装置のプラズマ内部の微視的な揺動を計測するためのBeam emission spectroscopy計測機、輸送特性を評価するためのイオン温度分布、内部輸送障壁形成の原因となるプラズマ流や電場を計測するためのCharge exchage spectroscopy 計測を実現する。これらの計測を駆使して磁場構造が内部輸送障壁形成に与える物理機構の解明を行う。
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