2021 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of electron-capture and beta-decay rates at stellar environments and nucleosynthesis
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19K03855
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 俊夫 日本大学, 文理学部, 教授 (70139070)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電子捕獲反応 / 殻模型 / 禁止遷移 / スピン応答 / ベータ崩壊 / ニュートリノー原子核反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 令和2年度は、20Neからの第二禁止遷移による電子捕獲率をWaleckaの多重極展開の方法により評価したが、令和3年度は電子の歪曲波の効果を取り入れた Behrens-Buhringの方法によってさらに精密に評価した。この方法では、電子の波動関数と遷移演算子が結合、干渉する項が現れる。電気4重極遷移におけるベクトル型弱カレントの Conserved-Vector-Current (CVC)関係の重要性を示し、CVC関係を満たす限り、Walecka法とBehrens-Buhring法による電子捕獲率の違いは小さいことを示した。 (2) 78Niからの電子捕獲率における第一禁止遷移の寄与のpf-sdg殻配位空間での殻模型計算による評価を、Behrens-Buhring法によって行った。Waleckaの多重展開法による電子捕獲率との差異は20%程であり比較的小さいことを示した。 (3) 46,47K から 46,47Caへのガモフ・テラー遷移、第一禁止遷移によるベータ崩壊率を評価し、実験との比較からいくつかの準位のスピンとパリティを特定した。 (4) ニュートリノ-20Ne反応の19Fを生成する粒子放出分岐、20Ne(ν,ν'p)19F、20Ne(反νe, e+ n)19F 等、の部分断面積を、統計的ハウザー・フェッシュバッハ模型により分岐比を求め評価した。天体での19F元素合成のシミュレーション計算を行う準備が整った。 (5) 18N核と16N核の負パリティ状態のエネルギー準位を、p-sd殻のハミルトニアンのモノポール項、多重極項を調整することによって求め、実験のエネルギー準位、特にその順番を再現することに成功した。16N,18N核の準位を同時に再現することに成功したのは、我々の計算が初めてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)中性子数N=50近傍の中重核の弱遷移率の評価、(2) 20Neの第二禁止遷移のより精密に評価した弱遷移率の8-10太陽質量をもつ星の終末のシミュレーション計算への適用、などの研究はCOVID-19の影響により共同研究者との往来や議論が十分にできなかったため、昨年度と同様に予定より遅れている。 (1)については、78Ni以外の核への研究の拡張および高温で重要となる励起状態からのガモフ・テラー遷移の寄与の評価が予定通り進んでいない。(2)については、共同研究者が引き続き来日できず、こちらからも訪問できなかったので、天体の詳細なシミュレーション計算は進まなかった。 また、COVID-19のため、出席予定の国際会議が延期されて出席できず、研究成果の発表や研究推進、共同研究のための議論、打合せが十分できなかった。 以上のような事情にもかかわらず、中性子過剰核18Nの構造の研究ではめざましい成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 令和3年度に求めたニュートリノ-20Ne反応の粒子放出分岐への断面積を用いて、天体での19F元素合成の研究を進める。 2. 弱中性カレントによるニュートリノ-16O反応で放出される低エネルギー(4-5 MeV)ガンマ線を測定して超新星ニュートリノの検出を行うために、反応断面積の精密な評価を行っている。令和4年度はさらに研究を進め、アップデートされた Super-Kamiokande での検出条件を利用した、将来の超新星爆発による超新星ニュートリノの時間を追った観測に備える。 3. 超新星のコア崩壊時に重要な役割を果たす中性子数N=50核、80Zn, 82Ge からのガモフ・テラー遷移強度、スピン双極子遷移強度をpf-gds殻の殻模型で評価し、天体環境下での電子捕獲率を求める。高温において励起状態からの遷移がガモフ・テラー遷移のブロッキング効果にどの程度の影響を与えるのか、スピン双極子遷移による禁止遷移がどの程度重要になるのかを調べる。 4. 進展が遅れているテーマの研究の推進を計る。
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Causes of Carryover |
COVID-19のため、出席予定だった国際会議、国際シンポジウム、国際ワークショップが再度1年以上延期になった。そのため予定していた海外出張が不可能になり、海外出張の旅費を使いきれなかった。 令和4年度は延期になっていた会議や予定の会議が実際に開催される可能性が高い。開催予定の内外の国際会議、シンポジウムに出席するため海外出張及び国内出張を行い、旅費として使用する予定である。再びCOVID-19のため海外出張に支障が出た場合は、論文のオープン・アクセス料金等に当てる。
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